健康的な食事パターンが世界の環境に及ぼす影響と経済的コスト

論文概要

 

171カ国の現地で入手可能な食品について、実際の食品価格と温室効果ガス排出量データを用い、可能な限り低い排出量で健康的な食生活をいかに実現できるかを調べた。比較の対象は最も安価な食品および最も一般的に消費される食品とし、コストと排出量を比べた。

健康的な食事パターンに必要な食品を用いて排出量を最も低くした場合の排出量は0.67 kgCO2eであった。各国で最も安価な食品を用いた健康的な食事パターンにおける排出量は1.65 kgCO2e であり、2021年におけるコストは3.68米ドルとなる。一方、最も一般的に消費される食品を用いた食事パターンにおける排出量は2.44 kgCO2e、コストは9.96米ドルとなる。

動物性食品とデンプン質の主食は、最もコストが低い食事パターンと最も排出量が低い食事パターンの間の排出量差の91%を占めている。他の食品群、特に果物と野菜はコストでは大きな差があるが、排出量では差がない。これらの結果は、食料政策と食品の選択における変化が極めて重要であり、世界的により健康的かつ持続可能な食生活を推進する上で最も費用対効果が高いことを示している。

 

原文タイトル:Environmental impacts and monetary costs of healthy diets worldwide

論文著者:Yan Bai, Elena M. Martinez, Mizuki Yamanaka, Marko Rissanen, Anna W. Herforth & William A. Masters

公開日: 2025/12/09 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s43016-025-01270-4

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