効果量と母集団分散が未知の場合、動物を用いた予備実験で標本サイズを推定すべきではない

論文概要

 

実験のために使われる動物の頭数を減らすことは、動物福祉を目的とした3R戦略の一環である。何頭の動物が必要かという標本サイズの推定は、効率的かつ倫理的な実験計画のための重要なステップである。予備的なパイロット研究によって標本サイズを推定することで、使われる動物の頭数を全体として削減できると一般的には信じられている。標準的なアプローチにおいては、計画中の動物実験が十分な統計的検出力を持つことを保証するため、効果量と母集団分散の推定が必要とされる。

本稿では、効果量と分散がいずれも未知の場合における標本サイズの推定値の分布を導出し、このような場合、パイロット研究によって必要な標本サイズを推定することはできないことを示す。我々の分析によれば、効果量が未知の場合、有効なパイロット研究に求められる標本サイズは本研究で必要な標本サイズよりもはるかに大きくなる傾向がある。したがって、標本サイズの推定を目的としたパイロット研究は、基礎研究や前臨床研究における動物実験に必要な動物の頭数を最小化することにつながらないと結論できる。現実的な例を提示するとともに、代替アプローチについて提案・考察する。

 

原文タイトル:Animal pilot studies should not be used to estimate sample size if effect size and population variance are unknown

論文著者:Alexander D Bird, Peter Jedlicka, Jochen Wilhelm

公開日: 2025/04/09 

論文URL:https://doi.org/10.14573/altex.2408141

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