動物の感覚意識に関する考え方や飼い主が示す優しさは、使役馬の福祉と結びついている

Belief in Animal Sentience and Affective Owner Attitudes are linked to Positive Working Equid Welfare across Six Countries

Emily Haddy, Faith Burden, Zoe Raw, João B Rodrigues, Jaime Humberto Zappi Bello, Julia Brown, Juliane Kaminski, Leanne Proops

2023/06/28

https://doi.org/10.1080/10888705.2023.2228029

論文概要

 

動物に感覚意識*があると信じることや、人間と動物がどのような関係にあるかということは、動物福祉において重要となる。しかし、飼い主の考え方や動物との感情的な絆が個体としての動物の福祉とどのように関連しているかについては十分に検証されていない。また、これまでは特定の文化においてのみ焦点が当てられてきたため、既存の知見が一般化できない可能性もある。

本研究では、飼い主の態度、動物の感覚意識についての考え方、使役馬の福祉との間の潜在的な関連性を探るため、福祉評価のプロトコルと飼い主の態度に関するアンケートを組み合わせ、6カ国の参加者378名を対象として調査した

思いやりを持って馬を扱う飼い主では、機械のように扱う飼い主に比べて、馬の全般的な健康状態と体格は全般的に有意に良い状態であった。自分の馬に感情をあると信じる飼い主でも同じように馬の状態はより良好であった。また、動物に痛みを感じる能力があると飼い主が考えている場合、その馬が跛行の症状を示す頻度は有意に減少していた。

こうした考え方の背景にある要因と理論の間にある潜在的な因果関係について考察する。これらの結果は、今後の動物福祉のための活動に役立つ可能性があり、人間と馬の関係においてはその質が重要であることや、動物の感覚意識に関する態度が馬の福祉に影響を及ぼしていることを強く示している。

* 感覚意識 sentience に関しては井上太一氏の訳語を参照した https://vegan-translator.themedia.jp/posts/53922064/

 

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