動物の苦しみに対する消費者の意識

Consumers' Attitudes towards Animal Suffering

Rui Pedro Fonseca, Ruben Sanchez-Sabate

2022/12/06

https://doi.org/10.3390/ijerph192316372

論文概要

 

地球と人類の健康は、欧米人が肉の消費を減らすことができるかどうかにかかっている。食肉生産は環境を悪化させ、食肉の過剰な摂取はガンや心血管疾患などとも関連しているが、消費者が食生活を変えるためは、説得力のある理由と動機が必要である。現代の畜産では、動物の誕生から屠殺にいたるまでに厖大な苦痛が加えられているという事実を考えれば、動物の福祉と苦しみは消費者の食肉消費を抑制する原動力となる可能性がある。

このシステマティック・レビューでは合計90の論文を調査し、畜産において動物が経験する苦しみに対する消費者の認識、アニマルウェルフェアのために食肉を減らすことに関する消費者の態度について検証した。その結果、消費者の畜産に対する認識は低いことが明らかになった。畜産における慣行や、動物に感情や感覚があることが認識されると、動物の苦しみに対する批判的な見方が強まった。農作業や輸送、屠殺に伴う動物の苦しみ、感覚を持った存在として動物が経験する苦しみは、消費者に食肉消費の削減を促し、短期的にはさらに食生活の変化をも後押しする要因である。

また、消費者が食生活を変えようとする動機としての動物の苦しみは、健康や環境に関する理由よりも強い説得力があるという研究結果もある。従って、食肉生産における動物たちの苦しみに対する消費者の認識を高めることは、環境負荷の低減と人間の健康増進のために最も重要である。

 

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