論文概要
新しい研究によれば、種差別は子どもの発達の比較的遅い段階で獲得されるものであり、学校における人道的な教育の必要性が強調されています。
種差別とは、正当な理由なくある種が別の種よりも道徳的に優れていると考えることであり、この信念のために、少なくとも多くの現代西洋社会では、ある種の動物を食用目的で繁殖・殺すことが許容される一方、他の動物に同じことをするのは道徳的に受け入れられないとされています 。その区別は主に種ごとの道徳的な序列に基づき、大抵はその最上位に人間が置かれます。
このような種差別的な見方が一般に広く存在することはある程度確信を持って言えるものの、これらの見方がどのように、またいつ形成されるのかは不明でした 。この疑問に光を当てようと、英国の研究者たちは、伴侶動物と畜産動物に関する道徳観の年齢差を比較する新しい研究を行いました 。
研究では、9~12歳の子ども、18~21歳の若者、29~59歳の成人という3つの年齢層から計479人の参加者を募集しました 。参加者は種差別に関する五つの課題に取り組みました。まず動物の扱いに関する六つの文について賛否の強さを答えてもらいました(例:「動物を物のように売り買いしてもよい」) 。さらに、動物由来の食品、動物由来でない食品、雑貨、畜産で一般的に使われる動物(豚・牛・鶏のいずれか)、ペットとして一般的に飼われる動物(猫・犬・ハムスターのいずれか)の写真が一枚ずつ提示され、それぞれを「食べ物」「ペット」「物」のいずれかに分類するよう求められました 。その後、人間が各動物をどの程度良く扱っているか、どの程度扱うべきかを5点満点で評価してもらい、最後に動物や動物製品を食べることの道徳的許容度を尋ねました 。
研究者は、若者と成人の種差別レベルはほぼ同じであることを明らかにしました 。しかし、9~12歳の子どもは種差別的な見方を示すことがはるかに少なく、人間は他の動物より良い待遇に値すると考える傾向も低かったのです 。例えば子どもは豚と人間は同じようによく扱うべきだと答え、犬は人間と豚の両方より良く扱うべきだと考えました 。彼らは畜産動物を「食べ物」ではなく「ペット」と分類する可能性が高く、動物や動物製品を食べることを道徳的に認める割合も低かったのです 。一方、若者と成人は畜産動物を「食べ物」とすることが多く、人間と犬は豚より良い扱いを受けるべきだと考え、動物やその製品を食べることをより受け入れていました 。
研究者たちはまた、畜産動物を食べ物として分類することと他の道徳観の関連性を調べました。おそらく驚くべきことではないが、若者や成人では、畜産動物は「食べ物」であるという信念は、人間が畜産動物により劣った扱いをしてよいという信念や、畜産動物を食べることは受け入れ可能である、という信念と相関していました。同様に、こうした信念は、種差別の強さとも相関していました。この研究は、こうした発見の間の因果的な結びつきを決定しようとするものではありませんが、別の研究では、おそらくは自らの動物消費を正当化するための「道徳的修練(moral gymnasitcs)」の成果として、動物を食べることで人々は、より種差別的な見解へと導かれることが示唆されています。
興味深いことに、9~12歳の子どもの場合、動物を食べ物と分類することと他の種差別的見解との間には相関が見られませんでした 。これは、動物を食べ物だと思っていることと、人間がそれらの動物をどう扱うべきかという考えとの間に関係がなかったことを意味します。
この研究は、非ヒト動物の道徳的価値に関する見解が幼児期に形成され、子どもは非ヒト動物が道徳的考慮に値することを認める傾向が高いことを示唆しています 。思春期のどこかで、人々は動物を人間より劣ったものとして見ることを学ぶのであり、これは動物を食べたり動物製品を使ったりすることに対する気休めとなるからかもしれません。種差別に取り組もうとする活動家や教育者は、非ヒト動物の道徳的価値に関する価値観の形成に良い影響を与えるため、子どもを対象に介入を試みるべきかもしれません。しかし、どのような介入が最も効果的かを示すにはさらなる研究が必要です 。
なお、研究者らが指摘している通り、この研究は英国の白人参加者のみを対象としています。今回の結果は英国以外にも関連するものの、今後の研究では他の国や他の文化の人々にこれらの知見がどのように当てはまるかを探ることが重要です 。
※本記事はこの記事の最下部にある論文のFaunalyticsのリサーチャーによる要約を、同団体の許可を得て翻訳したものです。
https://faunalytics.org/learning-not-to-care-about-animals/
原文タイトル:The Development of Speciesism: Age-Related Differences in the Moral View of Animals
論文著者:McGuire, L., Palmer, S. B., & Faber, N. S.
公開日: 2022/01/01

