動物性食品の代替 気候目標の達成にはスピードが重要である

論文概要

 

世界の食料システムは、気候変動を引き起こす温室効果ガス排出の主な原因の一つである。畜産によって発生するガス排出には直接的なものと飼料生産に伴う間接的なものがあり、食料システムによるガス排出の大部分を占めている。

世界人口は増加し所得水準も上昇しつつあるため、現状の傾向が続けば動物性食品への需要はさらに増大することになる。地球温暖化を国際的に合意されたレベルに抑制するためには、動物性食品を速やかに大幅に削減することが不可欠である。

動物性食品を代替する食品としては、植物性材料のみを用いた製品、プラントベースあるいは培養・発酵の技術を用いた代替食品がある。本研究では、こうした代替食品を迅速に導入することが気候目標に沿うものであり、同時にカロリーとタンパク質への需要を世界規模で満たせることを明らかにする。

重要となるのはタイミングである。代替食品の導入が遅れるほど、2050年までに転換する必要のある動物性食品が占める割合は増大し、食料システムを目標とする炭素収支の範囲に収めることは困難となる。

 

原文タイトル:Pace of adoption of alternatives to animal-source foods is an important factor in reaching climate goals

論文著者:Galina Hale, Vlad Oncescu & Ritesh Bhangale

公開日: 2025/07/02 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s41598-025-07866-x

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