土地利用の変化と畜産の拡大は、カブトコウモリに由来する人獣共通感染症コロナウイルスの感染リスクを増大させている

論文概要

 

人獣共通感染症がどの程度まで人間の活動によって広がっているのかは解明されていない。野生生物の生息地に人間が侵入し、都市化や耕作地面積の拡大、集約的畜産を進めたことによって人獣共通感染症の発生が助長されるという仮説がある。カブトコウモリは重症急性呼吸器症候群(SARS)に関連するコロナウイルスを最もよく媒介する生物種であり、本研究では、その生息域(2,850万km2以上)における森林被覆率、農地分布、畜産の密度、ヒトの人口規模と居住状況、コウモリ種の分布、土地利用の変化を包括する高解像度のデータを分析した。

その結果、SARS関連コロナウイルスが発生する危険性のある地域が特定され、中国におけるカブトコウモリの生息域は、他の国々に比べて森林の分断化が進んでおり、畜産と人間が集中していることがわかった。これらの研究結果から、中国における人間と畜産、野生動物の相互作用によって、SARS関連コロナウイルスが動物から人間に伝染し、感染が拡大するホットスポットが形成されている可能性がある。

 

原文タイトル:Land-use change and the livestock revolution increase the risk of zoonotic coronavirus transmission from rhinolophid bats

論文著者:Maria Cristina Rulli, Paolo D’Odorico, Nikolas Galli & David T. S. Hayman

公開日: 2021/05/31 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s43016-021-00285-x

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