培養肉と植物性タンパク質に対するシンガポール市民の認識

論文概要

 

代替タンパク質は、持続可能性を高めるととともに世界の栄養ニーズに対応できる可能性があるが、成功の鍵となるのは消費者側の受容度や食生活に採り入れる意欲である。

これまでの研究では、代替タンパク質が消費者にあまり知られていないことが受容に影響する重要な要因とされている。しかし、ターゲットを絞った介入策で受容度が高まるかどうかを実験的に検証した研究は少なく、特にシンガポールにおける培養肉など、新しい代替タンパク質製品が既に市販されている地域における検証は極めて乏しい。

本研究では、従来の鶏肉・プラントベース代替肉・培養肉のラベルを付したチキンナゲットの試食セッションを実施し、試食の前後で参加者の受容度・態度・主観的規範・行動の統制感* を比較検証した。参加者にはプラントベース代替肉と培養肉の利点に関する情報も併せて提示した。

その結果、参加者の受容度が最も高いのは従来の鶏肉で、次いでプラントベース代替肉、培養肉の順であった。特筆すべきは、培養肉への受容度が高まったのは、参加者が肯定的な情報に触れ、実際に試食した場合のみであった点である。

また、タンパク源にプラントベース代替肉や培養肉を選ぶことに関して、試食セッション後には全てのグループで参加者の態度と行動の統制感に向上が見られた。

これらの結果は、代替タンパク質の導入を推進する上では製品に触れる機会を増やし、情報提供を通じて人々の理解を拡げることの重要性を強く示している。

* 計画的行動理論において、態度・主観的規範・行動の統制感は行動意図に影響する3つの要因

 

原文タイトル:Improving perceptions of cultivated meat and plant-based proteins in Singapore

論文著者:Chloe Yun Yi Tan, Yanyun Yan, Jacqueline Choo, Xiaotong Cai, Hafizah Yusri, Nalini Puniamoorthy, Mei Hui Liu, L Roman Carrasco

公開日: 2025/08/27 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s41598-025-17395-2

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