妊娠中のヴィーガン女性における栄養サプリメントの使用状況・情報源・リスク認識 ドイツ語圏におけるVedieS研究からの知見

論文概要

 

背景: 妊娠中のヴィーガン食では一般に栄養上のリスクが問題となるが、ヴィーガンの人々にはさまざまサブグループがあり、その違いが区別されていないことが多い。明確に定義されたヴィーガン食を妊娠中に維持するサブグループについての実証的知見はいまだ乏しい。

目的: 妊娠中にヴィーガン食を遵守した経験のある女性を厳密に抽出し、サプリメントの使用状況、情報源、カウンセリングの経験、微量栄養素の欠乏および過剰摂取に関する理解について調査し、サブグループとしての特徴を明らかにする。

方法: 「ヴィーガン食と栄養補助食品に関する研究(VedieS)」の一環として、探索的手法による横断オンライン調査を実施した。先行研究のレビューに基づいて質問票を作成し、試験的に運用したのち、広くドイツ語圏でヴィーガン食や栄養・健康に関わる団体およびソーシャルメディアを通じて配布した。参加者はヴィーガン食(動物性食品をすべて排した厳格なプラントベース食)を遵守していた。分析では、妊娠期間を通じてヴィーガン食を続けた経験があると回答した参加者を対象とし、サプリメントの使用状況、情報収集の方法、適切なカウンセリングを受けた経験について、記述統計による分析を実施した。

結果: 参加者の合計は801名であった。参加者は教育水準が高く、その多くは都市部に居住していた(高等教育課程の修了者 76.3%・都市部の居住者 79.6%)。妊娠期間におけるヴィーガン食の遵守率は概ね安定していた(90.5%)。サプリメントはほぼ全員が服用し(99.1%)、概ね規則正しく服用されており(79.1%)、実際に使われていたのは、ビタミンB12(77.8%)、オメガ3脂肪酸(76.9%)、 葉酸(73.8%)、ビタミンD(67.8%)など、妊娠中のヴィーガン食で重要となる微量栄養素であった。

参加者の情報源は自ら検索した科学文献が主体であったが(80.3%)、専門家によるカウンセリングを受けた頻度は低く、十分に受けていないと感じている人が多かった。ヴィーガンであることを産婦人科医に伝えていたのは74.7%であったが、包括的なカウンセリングを受けていたのはわずか16.1%であった。

ヴィーガン食を遵守する参加者のモチベーションは高く、自主的な情報収集も行われていたが、微量栄養素の摂取量、特に過剰摂取に対する不安感は強く、40.4%の参加者が摂取量に関する指針が不十分だと感じていた。外部からの影響としては、社会的環境(46.3%)や医師(34.2%)によるものがあり、これらも不安を感じる大きな要因であった。

結論: 妊娠中にヴィーガン食を遵守する女性は、一様にリスクの高い集団ではなく、十分な知識を備え、強い責任感を持ったサブグループである。主な課題は、食事行動そのものよりは、専門的なカウンセリングにおける構造的な不備や、サプリメントに関してエビデンスに基づいた信頼できる指針がないことに関連している。これらの結果は、栄養教育および医療従事者のカウンセリング能力の拡充が公衆衛生の観点から重要であることを強く示しており、今後の臨床研究では妊娠中のヴィーガン食における栄養状態について客観的な指標を用いて評価する必要がある。

 

原文タイトル:Highly informed, yet undersupported dietary supplement use, information sources, and perceived risks among pregnant vegans in German-speaking regions-findings from the VedieS study

論文著者:Wolfgang Huber-Schneider, Karl-Heinz Wagner, Ingrid Kiefer

公開日: 2026/07/21 

論文URL:https://doi.org/10.3389/fnut.2026.1866907

別のFACTを探す