子牛の福祉に関する欧州食品安全機関 EFSA の見解を、栄養と管理の観点から検証する

論文概要

 

2023年3月、欧州食品安全機関(EFSA)は子牛の福祉に関する科学的見解を発表した。これは欧州委員会の要請に応えて示された独立した意見書で、子牛の福祉について最新の科学的知見が採り入れられている。これらの提言で用いられた情報源には査読付き研究や専門家の意見、灰色文献が含まれている。

この意見書では、個別の管理手法において想定されるシナリオと動物福祉への影響が検討されており、具体的にはホワイトヴィールとして育てられる子牛に繊維分を含む飼料を与えることや、母牛と子牛が触れ合う時間などが取り上げられている。

EFSA では、育成中の子牛に粗飼料で一定量の中性デタージェント繊維(NDF)を与えるべきであるとしている。子牛を母牛から引き離すことに関しては、子牛は最低でも24時間は母牛と共に過ごすべきであり、他の子牛と飼育されるのはその後にするべきとしている。また、引き離しによるストレスを最小限に抑えるのは母牛と子牛の双方にとって望ましいことから、より長期にわたる母牛との接触を段階的に導入すべきであるとしている。

本稿のレビューでは、これらの推奨事項およびその科学的根拠の妥当性を検証する。栄養面および管理面から見た場合、過剰な繊維を含む栄養価の低い飼料を子牛に与えることで、初乳摂取量の不足や病原体への曝露による罹患率・死亡率のリスクを高める可能性がある。従ってこうした手法は子牛の福祉を損なう可能性があり、レビューではこうした立場を支持する文献を示す。栄養と飼育環境の観点から子牛の福祉向上に資する他の手法を提案する。

 

原文タイトル:Invited review: An evaluation of EFSA opinion on calf welfare from a nutritional and management perspective

論文著者:J D Quigley

公開日: 2024/05/31 

論文URL:https://doi.org/10.3168/jds.2024-24829

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