心血管疾患の危険度が高い人々におけるベジタリアン食の効果 システマティックレビューとメタアナリシス

論文概要

 

重要性: 一般にプラントベース食は心代謝疾患の危険度を低下させることが知られている。しかし、そのリスクが高い人における効果は未だ明らかではない。

目的: 心血管疾患を有するか、そのリスクが高い人を対象として、主要な心代謝疾患の危険因子(LDLコレステロール(LDL-C)・ヘモグロビンA1c(HbA1c)・収縮期血圧・体重など)とベジタリアン食との関連性を検証する。

データソース: 事前に登録したメタアナリシスを実施した。Embase・MEDLINE・CINAHL・CENTRALのデータベースを使用し、2021年7月31日までに発表された関連研究を系統的に検索した。

研究の選定: 心血管疾患を有するか、そのリスクの高い成人を対象としてベジタリアン食を提供したランダム化比較試験で、LDL-C・HbA1・SBPを測定した研究に関してメタアナリシスを実施した。スクリーニングで得られた7,871件の論文のうち、選択基準を満たしたのは29件であった(0.4%;20研究)。

データ抽出と統合: 社会人口統計、研究デザイン、サンプルサイズ、食事内容に関するデータを2名の研究担当者が独立に抽出し、バイアスのリスクを評価した。LDL-C・HbA1c・収縮期血圧・体重について、ランダム効果モデルを用いて平均変化量評価した。エビデンスの全般的な確実性を評価する手法として、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)を用いた。

主要アウトカム指標と評価項目: LDL-C・HbA1c・収縮期血圧を介入前後で比較した平均変化量のグループ間差を主要アウトカムとし、体重およびエネルギー摂取量の変化を副次的アウトカムとした。

結果: 対象となったランダム化比較試験は20件で、1,878名の参加者が含まれ(平均年齢 28歳~64歳)、介入期間は平均 25.4週間(2ヶ月~24ヶ月)であった。このうち4件の研究は心血管疾患、7件は糖尿病を対象とし、9件では心血管疾患の危険因子を2つ以上有する人を対象としていた。

メタアナリシスの結果、ベジタリアン食を平均6ヶ月間にわたって摂取した場合、対照条件となったすべての食事パターンと比較して、LDL-C・HbA1c・体重には減少が見られ、その減少幅はそれぞれ6.6 mg/dL(95% CI、-10.1~-3.1)、 0.24%(95% CI、-0.40~-0.07)、3.4 kg(95% CI、-4.9~-2.0)であった。しかし、収縮期血圧には有意な関連が見られなかった(-0.1 mm Hg;95% CI、-2.8~2.6)。GRADEによる評価では、LDL-CおよびHbA1cの低下に関するエビデンスの確実性は中等度であった。

結論と意義: 心血管疾患の危険度が高い人においてもベジタリアン食でLDL-C・HbA1c・体重に有意な改善が見られ、これは標準的な治療による効果を超えるものであった。今後はより質の高い研究によって心血管疾患における健康的なプラントベース食の効果を明らかにする必要がある。

 

原文タイトル:Vegetarian Dietary Patterns and Cardiometabolic Risk in People With or at High Risk of Cardiovascular Disease: A Systematic Review and Meta-analysis

論文著者:Tian Wang, Cynthia M Kroeger, Sophie Cassidy, Sayan Mitra, Rosilene V Ribeiro, Shane Jose, Andrius Masedunskas, Alistair M Senior, Luigi Fontana

公開日: 2023/06/03 

論文URL:https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2023.25658

別のFACTを探す