持続可能なドッグフードの受容度 犬の飼い主2639名を対象とした調査

論文概要

 

人間の伴侶となっている犬は世界で5億2800万頭にのぼり、より持続可能生の高いドッグフードへの関心は高まりつつある。こうしたドッグフードには栄養学的に優れ、培養肉やヴィーガンのドッグフードや、微生物由来のタンパク質を使用したドッグフードなどがある。こうした代替ドッグフードの普及が広がる要因としては、従来の肉ベースのドッグフードと比べて環境への負荷が低いこと、工場畜産や天然魚の乱獲に関連するアニマルウェルフェアの問題が少ないこと、犬の健康のためにより優れている可能性があることが挙げられる。

本研究ではアンケート調査に参加した2639人の回答を分析し、犬の飼い主が現在どのようなドッグフードを与えているか、ドッグフードを購入する際の決定要因は何か、より持続可能の高いドッグフードはどの程度受容されているか、犬の食生活を考える際にどのような情報源を利用しているかを調べた。

主な結果として、回答者の84%(2188人/2596人)が従来のドッグフードまたは生肉ベースのドッグフードを与えていることが明らかになった。このグループの回答者のうち43%以上(936人/2169人)は、持続可能性の高い代替ドッグフードのうち少なくとも1種類を受け入れられると回答し、こうした製品を購入するどうかは主に栄養バランスが適切かどうかよると考えていた。

代替ドッグフードの中では培養肉ベースの製品が最も人気があり(24%、529人/2169人)、次いでベジタリアン(17%、359人/2169人)、昆虫ベース(16%、336人/2169人)、ヴィーガン(13%、290人/2169人)のドッグフードとなっていた。犬の食生活を考える際に参考にする情報源で上位を占めたのは、ラベル・包装(回答者全体の42%、1080人/2596人)、科学論文・書籍(38%、989人/2596人)、企業ウェブサイト(35%、900人/2596人)であった。

(食事パターン・年齢・性別・居住地など)人間と犬の人口統計学的特性は、現在の食事パターン、代替ドッグフードへの受容度、利用する情報源の選び方に影響しているものが多かった。特に、人間の食事パターンと犬の食事パターンは、現在および将来どのようなドッグフードを購入するかに最も広く関連する要因であり、情報源の選び方とも同様に強く関連していた。例えば、飼い主が動物性食品の消費を多く削減しているほど、持続可能性の高いドッグフードへの受容度も高かった。

ただし、今回の調査データは便宜的抽出法で得られたものであるため、回答者には英国在住者、女性の飼い主、高学歴の人、ヴィーガンの飼い主がより多く含まれている。このため、上記の各グループの相対頻度は犬を飼育している一般人口を十分に反映したものではない。要因間の関連を示す推定値は回帰分析を用いて算出し、結果に生じるバイアスの効果を最小化した。

 

原文タイトル:Consumer Acceptance of Sustainable Dog Diets: A Survey of 2639 Dog Guardians

論文著者:Jenny L Mace, Alexander Bauer, Andrew Knight, Billy Nicholles

公開日: 2025/10/15 

論文URL:https://doi.org/10.3390/ani15202988

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