昆虫食がもたらすという環境上の利点は誇張されていないか?

論文概要

 

昆虫養殖が持続可能な食料供給策となり得るという主張は頻繁に見られ、推進に取り組む業界関係者らによれば環境面で多くの利点があるとされている。しかし、現在の科学的知見に照らすとこうした主張には疑問の余地がある。養殖された昆虫を人間の食料や動物の飼料に用いた場合に環境に与える影響について、本稿のレビューではその評価手法の科学的根拠を批判的に検証する。

我々の分析からは、従来の研究には重大な限界があることが明らかになった。ほとんどの研究は小規模な環境で実施されたものであり、実際に産業化した場合の状況を正確に反映していない可能性がある。多くの研究者が指摘するように、昆虫を大規模に養殖した場合に将来的に環境にどのような影響があるかは未知数であり、重大な不確定要因が存在する。

一部の主張によれば、食品廃棄物を利用して昆虫を飼育できる、あるいは昆虫の糞を肥料として利用できるとされているが、いずれも非常に不確かな可能性であり、大規模化を進めるうえで解決を要する問題は数多く存在する。さらに、昆虫由来の食品によって代替されるのは主に環境負荷の低い植物性食品であり、肉類を代替するものではない。一方、昆虫を飼料やペットフードに使用することについては、他の使途が全くない食品廃棄物を利用しない限り、環境に及ぼす影響の大きさは従来の代替食品を上回ることが科学的データから明らかにされている。

本稿のレビューでは現状を広く概観して今後の研究における重要領域を示し、この新しい産業分野を取り巻く様々な不確定要因を含む全体像について、政策担当者の理解に資することを目的とする。

 

原文タイトル:Have the environmental benefits of insect farming been overstated? A critical review

論文著者:Corentin Biteau, Tom Bry-Chevalier, Dustin Crummett, Katrina Loewy, Ren Ryba, Michael St Jules

公開日: 2025/10/28 

論文URL:https://doi.org/10.1111/brv.70076

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