気候変動の解決には食料システムを変える必要がある

論文概要

 

人間活動による不可逆的な気候変動は、人類が直面する深刻な存亡の危機である。食料システム、特に集約的な畜産が及ぼす悪影響は、ごく最近までほとんどの気候変動対策の中で過小評価されるか、あるいは無視されてきた。しかし、それにも関わらず、現状の世界の温室効果ガス排出量のうち最大3分の1が畜産に起因することは事実である。一方、COP28での最近の進展は流れが変わりつつあることを示しており、食料システムは気候変動対策に関する国際的な議論において問題とされつつある。

気候変動は不可逆的で差し迫ったものであり、食料システムについて再考する必要がある。我々は気候変動がもたらす危機に対応するため、植物性食品を中心とした食習慣へ移行するとともに、こうした変化に合わせて集約的畜産を段階的に廃止し、放牧畜産をこれ以上増やさないことを提言する。世界の食料システムにおけるこうした変革は、主に教育と大規模な情報キャンペーン、畜産への補助金の廃止、畜産による外部コストを反映した課税、製品ラベルの改善、投資あるいは資金引き揚げによる様々な推進策を通じて達成可能である。

食料・農業に特化したパフォーマンス指標で食料システムの持続可能性を反映させるなど、より優れた評価基準や業界のベンチマークを設けることが重要となる。こうした問題に関する世界の人々の意識を高めるとともに、意識改革によって政治的意思を牽引することも必要である。これまでのやり方を続けることは不可能であり、今こそ針路を転換し、持続可能な食料システム、食習慣へと舵を切らねばならない。

 

原文タイトル:Solving climate change requires changing our food systems

論文著者:Svetlana V Feigin, David O Wiebers, Daniel T Blumstein, Andrew Knight, Gidon Eshel, George Lueddeke, Helen Kopnina, Valery L Feigin, Serge Morand, Kelley Lee, Michael Brainin, Todd K Shackelford, Shelley M Alexander, James Marcum, Debra Merskin, Lee F Skerratt, Gerben A Van Kleef, Amanda Whitfort, Carrie P Freeman, Andrea Sylvia Winkler

公開日: 2025/01/02 

論文URL:https://doi.org/10.1093/oxfclm/kgae024

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