減らすか、やめるか? 肉の消費を抑制するための動的規範メッセージングの有効性

Cut back or give it up? The effectiveness of reduce and eliminate appeals and dynamic norm messaging to curb meat consumption

Gregg Sparkman, Bobbie N.J. Macdonald b, Krystal D. Caldwell c, Brian Kateman d, Gregory D. Boese

2021/03/22

https://doi.org/10.1016/j.jenvp.2021.101592

論文概要

 

近年では、消費者に肉の消費を減らすよう促す方法についての研究が始まっている。しかし、有効性を計測できるメッセージング手法について検証した研究は乏しく、またそうした方法には長期的な効果があるのかどうか、最も効果のあるアピールをどのように考案するのかについても検討されていない。こうした中には、肉を食べる量を「減らす(リデュース)」というアピールと、肉を食べるのを「やめる(エリミネーション)」というアピールのどちらが効果的なのかという問題も含まれる。

食肉消費を抑制するため最近提案されている社会心理学的手法の一つとして、「多くの人々が食肉消費を抑制し始めている」という動的規範に関する情報を提示するというものがあり、本研究ではこの文脈から上記の問題について検証する。複数回にわたって実施した縦断的調査実験では、肉の消費を減らすことについての動的規範をリデュースまたはエリミネーションの形で訴える記事を参加者に提示し、2つの手法の有効性を比較した。

その結果、リデュースによるアピールでは、記事を読んでから5ヶ月後の食事報告において、対照条件と比較して肉の消費は効果的に減少していたが、エリミネーションによるアピールでは減少していなかった。次に実施した縦断的実験では、より広く社会人口を代表するサンプルで検証したところ、リデュースのアピールによるこうした効果は、若く、リベラルで、教育水準が高く、富裕ではない層において特に見られることが明らかになった。

 

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