発達が道徳の輪を狭める可能性

論文概要

 

私たちの道徳の輪は成長とともに広がるものと信じられている。最初は家族や友人を気にかけ、その配慮を次第に遠く離れた他者へと広げていく。一部の学者によれば、見知らぬ人の苦しみも愛する人の苦しみと同様に重要であると認識するこうした能力は理性の働きによるもので、その発達によって道徳の輪が拡大するものとされている。

しかし、最近の研究によればこの話はもっと複雑である。いくつかの領域において、幼い子供が最初に持っている道徳の輪は年長の子供や大人のものよりも大きいことが明らかにされている。幼い子どもは年長児や大人に比べ、関係性や物理的距離、生物学的な意味で遠い他者に対しても援助や保護に値すると判断する傾向が強いのである。

こうした知見は直感に反するものであるが、道徳の輪は必ずしも発達とともに拡大するわけではなく、時には縮小するという可能性を示唆している。私たちの幼少期には他者を気遣う傾向が一部で見られるのであり、遠く離れた他者を気遣うことへの偏見を克服しようとするよりは、このことを理解する必要があると考えられる。
 

 

原文タイトル:When development constricts our moral circle

論文著者:Julia Marshall, Matti Wilks, Lucius Caviola, Karri Neldner

公開日: 2025/05/28 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s41562-025-02212-7

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