論文概要
ある社会集団に対して偏見を持つ人は、他の社会集団に対しても偏見を持つ傾向がある。すなわち、こうした偏見は一般化する傾向がある。特定の人々に対する軽蔑や搾取(人種差別・性差別・その他の偏見など)と、ヒト以外の動物の扱い(しばしば種差別と呼ばれる)の間にある類似性は、多くの研究者によって指摘されており、偏見の一般化は種の違いさえも越えて広がる可能性があることを示唆している。
本研究では、この仮説を検証するために、大規模かつ人口統計学的に多様な参加者サンプルと、人間と動物を軽視する態度に関する複数の尺度を含むパネルデータを用いた。研究1(欧州46カ国からの参加者56,759名)では、人間に向けられた偏見と人間優位の信念との間には正の関連があることがわかった。この関連は、さまざまな社会人口統計学的要因(性別・学歴・宗教性・政治的志向など)の影響を補正してもやはり観察された。
研究2(オランダの参加者1,566名)では、人間に向けられた偏見には、肉を食べることに関連した態度・信念・感情的反応・行動に対して正の関連があることが明らかになった。大半のテストにおいて、この正の関連は社会人口統計学的要因を補正してもなお観察された。
したがって、いずれの研究でも、特定の人々を軽んじる人は動物の福祉や利益も軽んじる傾向があることが示唆された。今回の研究結果は、人間に向けられた偏見と動物に向けられた偏見とに共通する心理的基盤を理論化する最近の研究を支持し、偏見が広く一般化することを実証するものである。
Bastian Jaeger
2024/06/28
Prejudice Across Species Lines: Testing for a Link Between the Devaluation of Humans and Non-Human Animals