米国中西部の代替肉消費を変える食品ラベル戦略

論文概要

 

肉類の過剰摂取が人間の健康と環境の持続可能性のリスクとなっていることはよく知られている。食肉生産には膨大な資源が必要であり、さらに人口増加による圧力が高まっていることを考えれば、主要なタンパク源として肉類に依存することはますます困難となっている。

米国中西部は食肉の生産量・消費量がいずれも著しく高い地域であり、食習慣を転換するための介入策がとりわけ必要な状況にある。この地域で代替肉の導入を推進できれば、消費パターンおよび環境アウトカムの両面で大きな効果を期待できる。

本研究では、有限の資源に関する社会的ジレンマの理論に基づき、環境保護に関するメッセージと食品ラベルに関する先行研究をさらに進め、代替肉への受容度を高めるための戦略について検討する。中西部の成人を対象として、食品ラベルの存在(あり・なし)およびラベルの内容(環境問題に関する情報提供・参加者の意識(アイデンティティ)・社会的規範)の2×3条件の要因で構成した実験を実施し、代替肉について予想される好感度、試食する意欲、購入する意欲、従来の肉に代替する意欲を調査した。

その結果、社会的規範とアイデンティティに関するラベルの表示には有意な交互作用が認められた。すなわち、両者を組み合わせて提示した場合、予想される好感度は高まり(p = 0.013)、同様の効果は購入意欲(p = 0.007)および代替品への切り替え意欲(p = 0.011)についても見られた。一方、情報提供のラベルでは代替肉を試食する意欲は低下し(p = 0.013)、持続可能性に関する一般的な情報提供のメッセージの有効性には重大な懸念があることを示す結果となった。

最後に、参加者の大多数には持続可能性の高い代替肉に割増料金を支払う意思がないことが明らかになった。この傾向は先行研究の結果とは異なるものであり、価格面での戦略が必要であることを示している。

 

原文タイトル:Food labeling strategies to alter meat analogue consumption willingness in Midwestern adults

論文著者:Lindsey Fremling, Alison Phillips

公開日: 2025/09/26 

論文URL:https://doi.org/10.1007/s10865-025-00602-w

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