粒子状物質汚染に関連した中国の早期死亡は、食生活のシフトで減らすことができる

Dietary shifts can reduce premature deaths related to particulate matter pollution in China

Xueying Liu, Amos P. K. Tai, Youfan Chen, Lin Zhang, Gavin Shaddick, Xiaoyu Yan & Hon-Ming Lam

2021/12/16

https://doi.org/10.1038/s43016-021-00430-6

論文概要

 

肉類を多く使う食生活への変化は、環境の悪化を招いて間接的に健康に影響を及ぼしてきた可能性がある。ここでは、1980年から2010年の中国における食事パターンの変化によって、微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染が悪化することで間接的に健康にどのような影響を及ぼしてきたかを検証する。

食品構成の変化を引き起こしてきた主な原因は、食肉と飼料に対する需要の増大であり、この変化のみによって中国の農業におけるアンモニア(NH3)排出量は63%増加し、PM2.5濃度は年間で最大10 μg/m3(PM2.5濃度の総増加のうち約20%)上昇している。これらの影響の大きさは、人口増加のみに伴う食糧生産の増大による影響に比べると2倍以上に相当する。

現在の食生活からシフトして、推奨されているような肉類をあまり使わない食生活を始めれば、アンモニア排出量を約17%、PM2.5を2~6 μg/m3 減少させることが可能であり、年間約75,000人におよぶPM2.5に関連する中国人の早期死亡を防ぐことができる。

 

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