精密医療の時代における動物実験

論文概要

 

前臨床研究における動物実験は、新しい薬物治療がヒトを対象とした臨床試験に進む前段階で、有効性や毒性、安全性を評価する基盤として長年にわたり重要な役割を果たしてきた。しかし、人体生理の複雑な性質や癌などの疾患における複雑性を考慮し、本稿では認識論と倫理学の観点から、トランスレーショナルリサーチにおける動物実験の役割を批判的に検証する。

動物を保護することの倫理的義務は、人間の利益のために利用する手段としての価値を超えるものであり、動物たちのウェルビーイングに内在する価値を根拠としている。したがって、ここでは医学研究におけるパラダイムシフト、すなわち、新しい代替手法 New Approach Methodologies (NAMs) が単なる補助ツールではなく、医学研究で動物を使うことへの完全な代替手段であることを提唱する。この文脈において動物実験の代替は必須の原則であり、他のあらゆる事情より優先されるべき責務である。

 

原文タイトル:"Lost in translation?" Animal research in the era of precision medicine

論文著者:Hamideh Frühwein, Norbert W Paul

公開日: 2025/02/04 

論文URL:https://doi.org/10.1186/s12967-025-06084-3

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