群飼システムおよび個別ストールで飼育した妊娠母豚の行動・生理機能・子豚の回復力の比較

論文概要

 

(要旨の翻訳)

狭い環境に置かれることは妊娠中の雌豚に慢性的なストレスを引き起こし、雌豚の健康・福祉、ひいては子豚の生理機能に悪影響を及ぼす。本研究では、群飼システムと個別の妊娠ストールに収容された妊娠中の雌豚の健康と福祉を比較評価した。妊娠確認後、実験用の雌豚を無作為に2群に分け、電子給餌システム(ESF)を導入した群飼システム(GS)群と、個別ストール(IS)群とした。両群の行動を比較したところ、妊娠期間を通じてGS群は探索行動が多く、空噛み行動および座り込み行動が少なかった(p < 0.05)。また、IS群はGS群よりも高いストレスホルモン値を示した。特に妊娠41日時点では、IS群の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびアドレナリン(A)の濃度がGS群よりも有意に高く、Aレベルは妊娠71日時点においても有意に高い状態が続いた(p < 0.01)。次に、各群の母豚から離乳した子豚を対象にリポ多糖(LPS)試験を実施した。GS群の母豚から生まれた子豚(PG)は、IS群の母豚から生まれた子豚(PS)と比較して、高体温状態の持続期間が短く、正常体温への回復も早かった(p < 0.05)。また、ストレスホルモンのレベルも低く(p < 0.01)、PSと比べてストレス負荷が小さかったことが示唆された。これらの知見は、GS収容の妊娠母豚の方が自然な行動をより十分に発揮でき、ストレスレベルが低く福祉も向上していることを示している。さらにPGは、より優れた疾病抵抗性と回復力を示した。本結果は、妊娠母豚の福祉と繁殖管理に関する研究の基礎資料となるものである。

(AI要約)

この研究が示したこと

中国農業科学院の研究チームは、妊娠中の母豚60頭を「群飼システム(GS)」と「個別ストール(IS)」に振り分け、行動・ストレスホルモン・子豚の健康状態を比較しました。


母豚への影響

行動面 妊娠ストールに閉じ込められた母豚は、何も食べていないのに噛み続ける「空噛み」や、不自然な座り込みといった異常行動を継続的に示しました。これらは慢性ストレスの典型的なサインです。一方、自由に動き回れる群飼システムの母豚は、本来の行動である探索行動をより多く示していました。

生理面 ストールに入れられた母豚は、妊娠41日・71日の時点で副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とアドレナリンの値が有意に高く、慢性的なストレス状態にあることが血液検査でも裏付けられました。


子豚への影響――見落とされがちな世代間の傷

特に注目すべきは、母親のストレスが子どもの世代にまで及ぶという知見です。

研究チームは離乳後の子豚に炎症反応を誘発する試験(LPS注射)を行いました。

  • **ストールで育った母豚の子豚(PS)**は、高体温状態が長く続き、回復も遅く、ストレスホルモン(コルチゾール)の値も高いままでした
  • **群飼で育った母豚の子豚(PG)**は、より早く正常状態に戻り、ストレスホルモン値も有意に低く、疾病への抵抗力と回復力が高いことが示されました

つまり、妊娠中に受けた母親のストレスは、子豚の免疫機能や回復力を損なうのです。

 

原文タイトル:A Comparison of the Behavior, Physiology, and Offspring Resilience of Gestating Sows When Raised in a Group Housing System and Individual Stalls

論文著者:Liu, X., Song, P., Yan, H., Zhang, L., Wang, L., Zhao, F., Gao, H., Hou, X., Shi, L., Li, B., & Wang, L.

公開日: 2021/07/11 

論文URL:https://www.mdpi.com/2076-2615/11/7/2076

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