英国におけるプラントベース代替食品の消費動向

論文概要

 

持続可能な食料システムへの世界的な転換は、気候変動の緩和に向けた目標達成に不可欠である。高所得国・中所得国では、プラントベース食品は肉と乳製品などの動物性食品を代替し、持続可能な食生活に移行するための手段となる。

本研究では2008年から2019年までの英国・国民食事栄養調査 National Diet and Nutrition Survey による食品消費に関する反復横断データを分析し、プラントベース代替食品 plant-based alternative foods (PBAF) の消費動向を検証した。

1.5歳以上の個人15,655名の食生活に関するデータを分析し、PBAF および食習慣の変革において重要となる6種類の食品群について、その摂取量の全体的な変化を調べた。PBAF 消費に関連する特性はロジスティック回帰分析を用いて探索した。また、動物性食品を代替する食品群の消費量を調べ、肉を多く食べる人とあまり食べない人の消費パターンを調査した。

PBAF を何らかの形で摂取したと回答した人の割合は、2008-2011年の6.7%から、2017-2019年には13.1%に増加した(p < 0.01)。2017-2019年の PBAF 消費量は、2008-2011年と比較して115%増加していた(p < 0.01)。女性では、PBAF を摂取したと答える傾向は男性に比べて46% 高かった(p < 0.01)。

Z世代(11~23歳)およびトラディショナリスト世代(75歳以上)と比較して、ミレニアル世代(24~39歳)では PBAF を摂取したことがあると回答する割合が最も高く(p < 0.01)、この割合は高所得者でも同様に高かった(p < 0.01)。肉をあまり食べない人のPBAF 消費量は、多く食べる人の消費量を平均で上回っていた(1日あたり 18.6 g 対 4.8 g、p<0.01)。

本研究の結果は、英国における持続可能な食料システムへの移行においてPBAFが重要な役割を果たすという仮説を支持し、英国の消費者の間でPBAFの普及が進んでいることを実証するものである。このことはまた、PBAFを社会全体で大規模に導入する場合、動物性食品と比較して環境と健康に与える影響がどのようなものとなるか、その詳細を喫緊に検証する必要があることを示している。

 

原文タイトル:The role of plant-based alternative foods in sustainable and healthy food systems: Consumption trends in the UK

論文著者:Carmelia Alae-Carew, Rosemary Green, Cristina Stewart, Brian Cook, Alan D Dangour, Pauline F D Scheelbeek

公開日: 2022/02/10 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2021.151041

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