英国における食肉消費と一般内科系疾患のリスク

Meat consumption and risk of 25 common conditions: outcome-wide analyses in 475,000 men and women in the UK Biobank study

Keren Papier, Georgina K. Fensom, Anika Knuppel, Paul N. Appleby, Tammy Y. N. Tong, Julie A. Schmidt, Ruth C. Travis, Timothy J. Key, Aurora Perez-Cornago

2021/03/02

https://doi.org/10.1186/s12916-021-01922-9

論文概要

 

背景: 食肉の摂取による一般的な健康状態への影響に関しては、前向き研究によるエビデンスは限られている。本研究では、がん以外の内科系疾患で25種類の疾病について、罹患するリスクと肉の摂取量との関連を検証した。

方法: 英国バイオバンク(UK Biobank)研究において2006年から2010年に募集され、2017年まで追跡された中年成人474,985人(平均追跡期間8.0年)のデータについて、調査開始時における肉の摂取量に関する情報、医療機関での入院および死亡に関するデータと合わせて分析した。このうち規模の大きいサブサンプル(~69,000人)に関しては、オンラインの24 時間思い出し法* によって食事摂取量を3回以上繰り返して測定した。

結果: 肉を習慣的に(週3回以上)摂取している参加者では、そうでない参加者に比べて、健康上望ましくない変化や特徴が見られたが、肉の摂取と健康リスクの間で見られた相関のほとんどは、BMI(体格指数)による影響を調整した場合には大幅に低減した。(BMIを含む)多変量について調整を行ったCox回帰モデルによれば、未加工の赤肉・加工肉を合わせた総摂取量が高いほど、虚血性心疾患が発生するリスクは高くなっていた(1日当たり摂取量が70 g増加する毎のハザード比(HR)= 1.15、95%信頼区間(CI)= 1.07-1.23)。同様に、肺炎(1.31、1.18-1.44)・憩室疾患(1.19、1.11-1.28)・大腸ポリープ(1.10、1.06-1.15)・糖尿病(1.30、1.20-1.42)でも発症のリスクは高くなっていた。未加工の赤肉と加工肉の摂取量をそれぞれ個別に分析した場合も同様の結果が得られた。また、未加工の赤肉のみで摂取量が多い場合には、鉄欠乏性貧血のリスクが低下していた (1日当たり摂取量が50 g増加する毎のHR = 0.80、95% CI = 0.72-0.90)。

鶏肉の摂取量が多い場合には、胃食道逆流症が発生するリスクが高くなり(1日当たり摂取量が30g増加する毎のHR = 1.17、95% CI = 1.09-1.26)、他には胃炎・十二指腸炎(1.12、1.05-1.18)・憩室疾患(1.10、1.04-1.17)・胆嚢疾患(1.11、1.04-1.19)・糖尿病(1.14、1.07-1.21)でもリスクは上昇していた。一方、鉄欠乏性貧血のリスクは低下していた(0.83、0.76-0.90)

結論: 未加工の赤肉・加工肉・鶏肉の摂取量が多くなると、がん以外の一般的な内科系疾患が発生するリスクは高くなっていた。これらのリスク増加においては、BMIが高いことが大きく関わっており、関連性の一部は肥満を介した影響として説明できる可能性がある。未加工の赤肉や鶏肉の摂取量が多いほど、鉄欠乏性貧血のリスクは低下していた。

*構造化されたインタビューによって前日に摂取したすべての食品と飲料に関する詳細な情報を把握する調査方法

 

別のFACTを探す