補助犬をめぐる言説における愛と自立、種差別主義を再考する

論文概要

 

本稿では、補助犬(アシスタンス・ドッグ)は生まれつき自分の役割を愛しているものであるという通説に異議を唱え、「無条件の愛」という概念が補助犬に関する言説において人間中心主義を永続化し、種差別を強化していることについて考察する。こうした使役動物がどのような感情を経験しているかを理解し、障害者と補助犬の相互依存関係を認めることは極めて重要である。

本稿の主な目的は以下の4点である:(1) 補助犬は人間を無条件に愛しているという概念を批判すること、(2) 補助犬が担っている身体的・心理的な負担を認識すること、(3) 障害者と補助犬の自立ではなく、両者の相互依存をより認識する必要があること、(4) 補助犬について語る文脈における障害者差別と種差別主義の影響を検証すること。

ここで愛は物語を構築する装置であり、本稿ではその役割を検証することで、補助犬に対する搾取が人間中心主義によって隠ぺいされていることを明らかにする。本稿では人間と動物の関係に関する研究や障害科学からの知見を取り入れ、感情と権力構造に関する社会学研究を深化させることを目指すとともに、補助犬の労働と福祉を適切に評価する方向へと転換することを提唱する。

こうしたアプローチは自立を重視する自由主義的なイデオロギーに異議を唱えるとともに、種を超えた関係についてより包括的な理解を推進するものであり、ひいては感情に関する社会学研究、さらに社会学と障害学、ヒトと動物に関する研究が重なる領域の深化につながるものといえる。

 

原文タイトル:Rethinking love, independence, and speciesism in assistance dog discourse

論文著者:Birkan Taş

公開日: 2025/01/03 

論文URL:https://doi.org/10.3389/fsoc.2024.1448676

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