豚肉消費者における動物倫理への志向 デンマーク・ドイツ・スウェーデンにおける比較研究

論文概要

 

西ヨーロッパでは、1980年代からアニマルウェルフェアに関する各国の法制に加え、欧州連合による法制が組み合わされ、畜産動物の福祉について最低限の要件が保証されてきた。しかし、これらの要件は多くの消費者にとって十分なものとはいえない。

市場主導型の取り組みでは、畜産農家や畜産品の加工業者、小売業者らによって、表示制度や価格プレミアムを用いた基準の引き上げが進められており、畜産動物の福祉をさらに向上させる可能性はある。しかし、こうした取り組みは、消費者からの十分な支持があって初めて効果のある対策となり得る。

このような消費者からの支持がどの程度まで存在するのかを明らかにするため、我々はデンマーク・ドイツ・スウェーデンにおいて、動物倫理に対する消費者の志向と、アニマルウェルフェアに配慮した豚肉に対する消費者の需要との関係を調査した。

この3カ国すべてにおいて、畜産動物の福祉の向上をめざすスキームの背景にある理想、すなわち、畜産動物が良好なレベルの福祉を享受しているのであれば、肉を食べることは倫理的に正当化されるという理想を支持する消費者層が存在することがわかった。

この消費者層では、畜産動物の福祉に対して強い関心があり、アニマルウェルフェアに配慮した豚肉を購入する頻度も他の消費者に比べて高い。さらに3カ国すべてにおいて、消費者の4分の1以上はこのような消費者層に属している。従って市場関係者は、アニマルウェルフェアに配慮した豚肉に対する消費者からの需要は持続的に存在するものと考えて良い。

 

原文タイトル:Moral Convictions and Meat Consumption—A Comparative Study of the Animal Ethics Orientations of Consumers of Pork in Denmark, Germany, and Sweden

論文著者:Lund TB, Denver S, Nordström J, Christensen T, Sandøe P.

公開日: 2021/01/28 

論文URL:https://doi.org/10.3390/ani11020329

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