赤肉とプラントベース代替肉の摂取が心理的ウェルビーイングに及ぼす影響 健康な若年成人を対象とした10週間のクラスター無作為化介入試験

論文概要

 

背景: 健康な食生活は精神面の健康を支えるとされているが、赤肉または代替肉を食事に加えた場合の影響は不明である。

目的: 植物性食品を豊富に含む食事に加え、赤肉またはプラントベース代替肉のいずれかを推奨量で摂取した場合に心理的および生理的なウェルビーイングに違いがあるかどうかを検証する。

方法: 2群による無作為化介入試験を10週間にわたって並行して実施した。健康な雑食の若年成人80名を(配偶者やルームメイトなど)世帯で同居するペア40組として振り分けた。ニュージーランド産の新鮮な牛肉・羊肉、または同等のプラントベース代替肉のいずれかを毎週3回摂取するよう各ペアに無作為に割り当てた。それ以外の食事はオボラクトベジタリアン食とし、週1回の食事キットおよび研究栄養士のアドバイスで参加者をサポートした。

心理学的指標として、試験期間における幸福感(WHO-5 精神的健康状態表)、抑うつ・不安・ストレス(Depression Anxiety. Stress Scale-21)、疲労感(多次元疲労尺度短縮版)に関する評価を毎週実施した。血液バイオマーカーとして、神経伝達物質関連の化合物、鉄分の状態、ビタミンB12およびDを測定した。身体活動と睡眠はフィットネス用のリストバンドを用いて推定した。各アウトカムの経時変化について、混合効果モデルを用いてベースラインと比較し、ランダム化単位のクラスタリングを考慮して2つの介入条件を比較した。

結果: 試験を完了した世帯ペアは39組であった。ベースラインの時点における評価で参加者は心理的に健康な状態であった。心理学的指標および大半の循環器系バイオマーカーでは、ベースラインからの変化の大きさに群間差は認められなかった。ビタミンB12の状態および3つの神経伝達物質関連化合物(アデノシン・アグマチン・チロシン)に関しては、ベースラインから10週目までの変化量に群間差が見られた。すべての感度分析において、身体活動量・睡眠・食事の質といった共変量を調整した場合も同様の結果が得られた。

結論: 健康な若年成人の食生活において赤肉とプラントベース代替肉を比較した場合、心理学的指標への影響はなく、生理的状態に及ぼす影響も限定的であった。

 

原文タイトル:Effect of Moderate Red Meat Intake Compared With Plant-Based Meat Alternative on Psychological Well-Being: A 10-Wk Cluster Randomized Intervention in Healthy Young Adults

論文著者:Tamlin S Conner , Nicola A Gillies, Anna Worthington, Emma N Bermingham, Jillian J Haszard, Scott O Knowles, Daniel R Bernstein, David Cameron-Smith, Andrea J Braakhuis

公開日: 2024/11/16 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.cdnut.2024.104507

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