赤肉の摂取量と2型糖尿病の発症リスク 食事の質との関連性

論文概要

 

背景: 赤肉の摂取は健康に悪影響をもたらす要因であることが示唆されている。しかし、食事パターンが全体として健康的なものであれば赤肉を摂取しても疾病に罹患するリスクが上昇しない可能性はある。

方法: 3つの前向きコホート調査に登録された204,740名の参加者を対象として、2型糖尿病を発症するリスクと赤肉の摂取量の関連を食事の質と対比させて検証した。分析には多変量調整コックス比例ハザードモデルを使用し、食事の質は、代替健康食指数AHEI-2010から赤肉・加工肉の項目を除いて測定した。

結果: 28年(中央値)の追跡期間において18,868人で2型糖尿病の発症が確認された。AHEI-2010スコアの平均値は47.3(SD 8.5)で、加工肉・非加工肉を含む赤肉の平均摂取量は、週当たりの総量で6.5食(SD 3.5)、加工肉では1.8食(SD 1.5)、非加工肉では4.8食(SD 2.5)であった。AHEI-2010スコアのレベルに関わらず、2型糖尿病の発症リスクは赤肉の摂取量が増えるほど一貫して上昇していた。食事の質が最も高いグループにおいて赤肉の摂取量が最も多い参加者を最も少ない参加者と比較すると、発症リスクの多変量調整ハザード比は、加工肉・非加工肉を含む赤肉の総量で1.95(1.72~2.21)、加工赤肉のみで1.88(1.67~2.13)、未加工赤肉のみで1.67(1.47~1.90)であった。(野菜・全竜穀物などの)主要食品群で赤肉を代替した場合、2型糖尿病のリスクは低下し、特に食事の質が高いグループでは大きく低下していた。赤肉の摂取量を減らした場合、食事の質が高い参加者ではより大きな効果が見られた。

結論: 赤肉を多く摂ることに伴う2型糖尿病のリスクは、食事の質が比較的良好な参加者でも依然として高く、発症を予防するためには赤肉の摂取量を制限することが重要である。

 

原文タイトル:https://doi.org/10.1016/j.metabol.2025.156277

論文著者:Peilu Wang, Yiwen Zhang, Edward L Giovannucci

公開日: 2025/05/02 

論文URL:Dietary context in the association between red meat consumption and risk of type 2 diabetes

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