論文概要
目的: 赤身肉が健康と環境に与える害についての知見は増えつつあるが、肉の消費を減らすためのメッセージにどのような害を含めるのが最も効果的かについてはほとんど知られていない。本研究では、消費者が赤身肉についてどのような害を最も認識しているのか、またどのような害があると最も食べたくなくなるのかを調べた。
研究デザイン・設定・参加者: 米国の保護者544人(18歳以上、子どもの年齢が6か月から5歳まで)を対象とした、オンライン調査による被験者内無作為化実験。赤身肉が健康に及ぼす8種類の害、および環境に及ぼす8種類の害をランダムな順序で提示し、参加者はそれらをどのように認識しているかについて回答した。参加者はまた、これらの害によって肉を食べる意欲を失う効果の大きさについて、5段階のリッカート尺度で評価した。
結果: 赤身肉が健康と環境に害を及ぼすことを認識していると回答した参加者は少数で、健康被害については前立腺がんの認知度8%から心疾患の認知度28%、環境被害では水不足や森林破壊の認知度13%から気候変動の認知度22%となっていた。
肉を食べる意欲への影響について、具体的な害の中では心疾患による意欲喪失の効果が最も大きく(平均値= 2.82/5)、次いで早期死亡(2.79)、動植物の絶滅(2.75)であったが、ほとんどの害において同様に意欲の喪失が見られた(2.60 ~ 2.82)。
多変量解析では、参加者のうち、年齢が若い・黒人・政治的にリベラルなどの属性のある人では、赤身肉は健康に悪いという全般的な認識は強く、また普段の赤身肉の消費量が多い人ほど、健康や環境への害に対して赤身肉を食べたいという意欲を削がれたと回答した(すべてP<0-05)。
結論: 赤身肉が健康と環境に及ぼす様々な害についてのメッセージは、消費者に情報を提供し、赤身肉の消費を減らす動機を与える可能性がある。
Anna H Grummon, Dina Goodman, Lindsay M Jaacks, Lindsey Smith Taillie, Christina A Chauvenet, Meg G Salvia, Eric B Rimm
2021/07/29
Awareness of and reactions to health and environmental harms of red meat among parents in the United States