論文概要
赤身肉や加工肉の摂取はガンのリスクを増加させるという仮説があるが、これまでのエビデンスは一貫したものではない。われわれは、前向き研究に関するシステマティックレビューとメタアナリシスを行って、さまざまなガンの発生率について、未加工の赤身肉と加工肉それぞれの摂取量、両者を含む肉の総摂取量との関連を調べたこれまでの研究結果を検証した。
2020年12月までにMEDLINEおよびEMBASEのデータベースを検索し、ランダム効果メタアナリシスを用いて、赤身肉と加工肉それぞれの摂取量と両者を含む肉の総摂取量に対して、さまざまなガンに罹患する相対リスク(RR)とおよび95%信頼区間(CI)の集計値を算出した。合計で148件の発表論文を抽出した。
赤身肉の摂取が発症リスクの上昇に有意に関連していたのは、乳がん(RR = 1.09; 95% CI = 1.03-1.15)、子宮内膜がん(RR = 1.25; 95% CI = 1.01-1.56)、結腸直腸がん(RR = 1.10; 95% CI = 1.03-1.17)、結腸がん(RR = 1.17; 95% CI = 1.09-1.25)、直腸がん(RR = 1.22; 95% CI = 1.01-1.46)、肺がん(RR = 1.26; 95% CI = 1.09-1.44)、肝細胞がん(RR = 1.22; 95% CI = 1.01-1.46)であった。
加工肉の摂取に関連した発症リスクの増加率は、乳がん6%、結腸直腸がん18%、結腸がん21%、直腸がん22%、肺がん12%であった。さらに、赤身肉・加工肉を含む総消費量が発症リスクの増加と関連していたのは、結腸直腸がん(RR = 1.17; 95% CI = 1.08-1.26)、結腸がん(RR = 1.21; 95% CI = 1.09-1.34)、直腸がん(RR = 1.26; 95% CI = 1.09-1.45)、肺がん(RR = 1.20; 95% CI = 1.09-1.33)、腎細胞がん(RR = 1.19; 95% CI = 1.04-1.37)であった。
本稿における包括的なシステマティックレビューとメタアナリシス研究から、赤身肉の摂取量が増えると、乳がん・子宮内膜がん・結腸直腸がん・結腸がん・直腸がん・肺がん・肝細胞がんに罹患するリスクが高くなり、また、加工肉の摂取量が増えると、乳がん・結腸直腸がん・結腸がん・直腸がん・肺がんに罹患するリスクが高くなっていた。さらに、赤身肉・加工肉の総摂取量が多いほど、結腸直腸がん・結腸がん・直腸がん・肺がん・腎細胞がんを発症するリスクが高くなることも明らかになった。
Maryam S. Farvid, Elkhansa Sidahmed, Nicholas D. Spence, Kingsly Mante Angua, Bernard A. Rosner, Junaidah B. Barnett
2021/08/29
Consumption of red meat and processed meat and cancer incidence: a systematic review and meta-analysis of prospective studies