韓国における一般農場とアニマルウェルフェア認証農場で飼育されるブロイラーの比較研究

論文概要

 

(要約)

この論文では、韓国における一般的な(従来型)鶏舎で飼育されているブロイラーとアニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎で飼育されているブロイラーとの比較研究の報告、およびそれを通じた福祉改善状況の調査結果の報告を行っている。

鶏舎は、どちらの場合も窓はなく、飼育密度は従来型鶏舎は16.7羽/平方メートルアニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎は20.2羽/平方メートルとなっている。アニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎のほうには1000羽あたり2メートルの木製の止まり木が用意されている。また、水や飼料の提供のされ方は同じとしている。

評価は、ヒナが26日齢(韓国における出荷の4~6日前)に行われた。 

以降、各指標の測定方法の詳細、測定結果を述べており、全体として従来型鶏舎の場合よりアニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎の場合のほうが改善を示した結果となっている。

ただし、コルチコステロン濃度の測定結果では、ストレス値の指標として測定を行ったがアニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎のブロイラーのほうが高い値を示したことについて、まだ調査していく必要がある、としている。

■体重

測定の結果として、体重については有意な差は無かった。

■コルチコステロン濃度の測定(Corticosterone)

コルチコステロンは、生物的なストレスの指標として測定が行われたが、従来型鶏舎のブロイラーより、アニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎のブロイラーのほうが有意に高い値となっている。過去の関連した研究も踏まえ、コルチコステロンが必ずしもブロイラーのストレスを表す指標としての値を示しているとは限らず、さらなる研究が必要、としている。

■足裏皮膚炎、ホックバーン(飛節びらん)、羽毛の汚れ

研究では、足裏皮膚炎については有意な差は出なかったが、ホックバーン、羽毛の汚れについては有意な差が出ており、従来型鶏舎のブロイラーよりアニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎のブロイラーのほうが、改善されることを示している。

■歩行スコア

歩行スコアについては、飼育密度は歩行に影響しないとする研究もいくつかあり、更なる研究が必要、としているが、この論文の研究としては、有意に改善された結果が出ている。

■体表面温度

この論文の研究においては、鶏の頭部、胸部、脚部の体表面温度に、有意な差は現れなかった。

■敷料

敷料の水分含量、pHについては、違いは出なかった。窒素含量については従来型鶏舎のものと比べて、アニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎の敷料のほうが低い値となっている。アニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎の鶏のほうが飼料由来の窒素を効率的に体内に取り入れていることで今回のような結果になっているのか、について更に調べていく必要がある、としている。

■照度

照度については、アニマルウェルフェア認証を受けた鶏舎のほうが従来型より有意に高い値が出ている。

■アンモニア濃度

鶏舎内のアンモニアの濃度については、今回の研究内で、有意な差は出なかった、とのことである。

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(補足)
以降はここで要約として挙げている論文内で記述されていない補足になります。
例えば別の論文では、コルチコステロン(Corticosterone)濃度の測定値について、鶏卵用鶏舎で採れた卵で測定した場合に(※要約元の論文は鶏卵用の鶏ではなく、また羽毛、糞便から測定を行っています)過密状態の鶏舎での測定値より、平飼いで行った測定値のほうが高い値を示したとの報告もあります。
こちらの論文では、過密状態での慢性的なストレス下におかれた鶏では、臓器のホルモンの分泌が減る可能性について指摘しており、過密状態下でコルチコステロン濃度が低く出ることは、その鶏が慢性的ストレス下にあることを示している可能性がある、としています。

タイトル:Chronic Stress in Battery Hens: Measuring Corticosterone in Laying Hen Eggs
著者:Elena Bulmer and Diego Gil
発行日:2008/11/9
URL:
https://doi.org/10.3923/ijps.2008.880.883

 

原文タイトル:Research Note: Welfare and stress responses of broiler chickens raised in conventional and animal welfare-certified broiler farms

論文著者:Byung-Yeon Kwon, Hyun-Gwan Lee, Yong-Sung Jeon, Ju-Yong Song, Sang-Ho Kim, Dong-Wook Kim, Chan-Ho Kim, Kyung-Woo Lee

公開日: 2024/01/11 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.psj.2023.103402

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