気候変動に関する過激派の抗議活動は、穏健派に対する社会的支持につながる

Radical climate protests linked to increases in public support for moderate organizations

Markus Ostarek, Brent Simpson, Cathy Rogers & James Ozden

2024/10/21

https://doi.org/10.1038/s41893-024-01444-1

論文概要

 

社会運動には大規模な社会変革を推進する力があるが、破壊的な手段に訴える戦術がこうした変革を達成するうえで有効かどうかはわかっていない。本研究ではこの問題に取り組むため、抗議団体「ジャスト・ストップ・オイル Just Stop Oil」による破壊的な抗議活動(2022年11月)の際にロンドンのM25高速道路が1週間にわたって封鎖された前後に、全国を代表するサンプル(参加者1,415名)を対象とした調査を実施した。

その結果、非暴力的な手段による破壊的な抗議活動が大々的に宣伝されて過激なグループが社会で認知されると、わずか2週間のうちに、気候変動の問題を訴えるより穏健なグループ(「地球の友 Friends of the Earth」)への共感や支持が高まることがわかった。

本研究は、社会運動におけるダイナミクスと、変化を促すうえで過激な抗議活動が果たす役割に関して新たな知見を提供するものである。気候変動に関する大きな社会運動の中には穏健派のグループが存在するが、過激な抗議活動がこのように副次的にポジティブな効果をもたらすことを見れば、こうした穏健派グループにとって、非暴力的ではあるが過激な行動は、これまでに用いたことのない戦略的リソースとなる可能性がある。
 

 

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