Sacred Cows and Golden Geeseメディアの批評Mae-Wan Ho博士のウェブサイト(http://www.i-sis.org)より最悪な動物実験Sacred Cows and Golden Geese (著作:C. Ray Greek医師/Jean Swingle Greek DVM)国際標準図書番号:SBN 0-8624-1226-2 本書が異例といわれるのは、動物に対して道徳的考慮を与えられるべきか否かという問題ではなく、医学研究における動物実験の有効性の問題を取り上げているからです。両筆者は獣医と麻酔専門医として経験からの動物研究に精通しています。動物福祉問題にオーバーラップしているものの、本書の大部分は動物実験の必要性に関する科学的コミュニティの仮説について熱心に分析しています。しかし、利害関係を持ち、見当違いをしている一般社会において、動物実験の必要性はいたる所で固定化してしまっています。 生体解剖の起源は2世紀のローマに遡ります。当時、内科医であったガレノスの手によって始められました(患者は主に剣闘士などで、実験台となっていました)。彼は、人体解剖学と生理学を研究していたので、立場としては独特なものでした。しかしながら、ガレノスは人体実験を禁止していた新興教会によって研究が妨害されたため、代わりにヤギ、ブタや猿で研究を続行しました。 ルネッサンス時代になると、「身体は体液でコントロールされている」というガレノスの理論は時代遅れとなりました。新人道主義は教会が人間を検死することに反対していましたが、それからしばらくの間は生体解剖が主流でした。 17世紀前半には、人体解剖学の教科書が出現し始めました。私たちの基礎的な医学知識の多くはこの時期に行なわれた人間の検死からによるものです。(血液循環/癌/肺機能など) しかしながら、19世紀ヨーロッパの厳密で保守的な傾向の結果として、動物実験が有利に働き始めました。研究所は、研究の「真実の家」として建設され、その後間もなくエリート科学者達は、研究で動物実験を行う通説を確立しました。この通説は、「動物は適切な研究資料である」(人間に適用するための「試運転」とみなす)という確信だけを基準にしたものではありませんでした。著者によれば、卓越したモラルを主張する科学よりも、生体解剖以外に不変の論理を説く科学が少なかったようです。その一つにフランスの医学教授が主張する論理があります。『生体解剖は「聖職者や道徳家による妨害に対抗する科学の独立ための抗議」として必要である』と。 1930年代、アメリカ連邦議会で可決されたことにより、生体解剖は更なるステータスを獲得しました。動物と人間との薬物に対する臨床実験であまり悲惨な結果がでなかったため、科学者は「今後、薬をテストするのに動物を使用するべきである」と確信しました。このようにして、生体解剖と薬剤開発の親密な関係が確立されました。Sacred Cows and Golden Geeseは主張しています。「動物実験は生物化学的の身体構造上で動物と人間が異なるという単純な理由で意味のないデータを生み出している」と。 動物の一種一種はそれぞれ異なっています。それぞれの動物は、異なる化学薬品へ別の反応を示します。ネズミ、ハツカネズミやチンパンジーから人間への反応を推定することは、非常に危険で、最悪の場合は偽った選択肢となります。:もし異なる種の動物が異なった反応を示した場合、どの動物の結果が人間に有効なのかわかりますか?この本は、ポピュラーな神話に反して主張しています。「非常に印象的な薬物テストの発見は、檻の中の動物に行った化学薬品実験に起因したものではなく、意外な発見をする能力や良い臨床の観察に起因していた」と。医学界で、動物研究がまだ非常に強力であった1957年、アメリカでサリドマイドが発売されました。サリマイドの使用が人間の乳幼児に先天的欠損症を引き起こすという明瞭な関係性があったにもかかわらず・・・。動物実験研究では、人間に起こり得る反応を再現できませんでした。そのため、サリドマイドを即時回収が遅れ、悲劇的な結果を生み出しました。 年間100,000人のアメリカ国民を死に至らしめる医原病(医師による投薬・手術などの医療行為が原因となって起こる病気)の大きな原因は動物実験で効果を得られないことなのです。しかし、逆説的に、製薬産業が裁判所で引証するのは同じテスト結果なのです。 制度上の慣性のため、既得権益の団体(高価な動物、またその維持費、設備費を考える人達)がある限り、動物実験は簡単に無くなることはないでしょう。毎年、米国の国立衛生研究所は、動物実験に納税者の金銭の数十億ドルを投入しています。しかし、実験は無用な結果を生み出すだけでなく、危険な誤解を招いている可能性が高いのです。開業医は「動物実験は必要ない」と指摘しています。Huntingdon研究センターのセンター長のラルフ・ヘーウッド博士は、「副作用の相関性は人間と動物とでは5~25%程度でしかない」と述べたと伝えられています。 医学界で新たに出現した動物の役割は、器官のドナーです。異種間臓器移植の危険性の問題ではこの点が頻繁に取り上げられます。著者は、遺伝子工学がプロセスを安全にするという妄想を持っているようですが、新種の致死ウィルスの危険性が強調されています。 本書は衝撃的、かつ刺激的であり、個人を含め、大衆、生物医学界関係者が無視することなどできないはずでしょう。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article動物の権利・動物愛護に関する衆議院議員選挙候補者アンケート2014 Next ArticleフランスのファッションデザイナーLolita LempickaがフォアグラにNO IGP認証のフォアグラ農場の実態を暴露。 2014/12/13