記事・論評・意見書より:ローバーのリベンジ

人の健康に犬たちは貢献したでしょうか。

毎年、何百万匹もの犬たちが行政施設や保護施設内で処分されています。
その犬たちを単純に処分するよりも、調査用の実験動物として研究所へ移送してはどうか、という提案が公然とされています。
そして、その業務に就く人間に犬たちの死は委ねられており、犬たちは長い間医療用実験動物とされてきました。
 

しかし、医療の進歩のために、動物実験は本当に必要なのでしょうか?

 
人の健康に対して、犬たちが貢献してくれた例を瞥見してみましょう。
動物捕獲や動物実験の提案者は、「本質的に、犬は四ツ足の毛皮付きの人間にすぎない。」と論じています。 結局、シェイクスピアが言ったように、"hath not a dog eyes, if a dog is cut does not he bleed"ということです。
一見したところ、人間と犬は非常に似ているかもしれません。
犬は人間と同じように、4房室を肺に持ち、細胞で構成され、母乳で育つからかもしれません。
だからなのでしょうか?医学生や獣医から送られてくる情報が適切であると判断されてしまうのは。
そのような施設では、実践性があるという理由から実験結果の明確さが増し続けています。 
しかし、犬と人間では細胞レベルにおいて劇的に差異があり、更にその多くは細胞レベルの研究によるものなのです。
その「細胞の差異」が発生率や臨床症状の重症度や病気の予測や治療効果や毒素への影響を決定付けています。 「人間の3大病である脳卒中に、どうして犬はかからないのか?」と考えたことはありますか?
犬たちがあの悪名高きコレステロールに対して全く注意を払っていないにもかかわらず、タロウが冠状動脈病にかからないのは何故なのでしょうか?
一度も消化不良にかかることなく、ポチは一体どうやって、裏庭で拾い食いをしても何の病気にもかからずに済ませられるのでしょう?
ハナコに通常の卵巣摘出手術のルーチンを行った際、乳癌の危険は下がりました。しかし、Muffyの母親が同様の手術を行った際は、逆に骨粗鬆症の危険を増加させる結果となりました。
 
これらすべての差異は、人と犬科の動物との間の外見上の小さな差異に由来しているように思われます。
両種間のほんの些細な差異のため、犬での実験結果を人に実際に適用した際に医学史を悲劇的なものに塗り替えてしまいました。
例を挙げてみましょう。
 

少なくとも人間は、喫煙が癌を引き起こすと考えに真剣にその対処法について取り組んでいます。
しかしながら、犬はたばこの煙に対して非常に抵抗力があるのです。
たばこ会社は何年も何年も、科学者が動物実験で癌の発症性を明らかにできないことを逆手に取ってきたのです。「喫煙は不健康ではない!」という証明ために多くの犬たちが犠牲になりました。
興味深いことに、多額の費用が、動物実験での喫煙研究に未だに費やされているのです。
もっとも奇妙な動物の喫煙研究の1例が1987年に犬の動物実験として行なわれました。
勃起した犬に無理やりたばこの煙を吸わせたのです。喫煙後、たいていの犬は勃起しつづけることができなくなります。
研究者たちは下記のように述べています。
「この結果は、『喫煙すると人間は勃起を維持できなくなる。』という考察を支持するものである」と。
(嫌煙者にしてみれば、「どうして、映画の中では人はいつもセックスの後にたばこを吸っているの!?」という疑問の説明にもなりえます!) 動物実験をすると、その功績が大いに称賛されることがしばしばあります。
 
スタンフォード大学はアメリカにおいて、心臓移殖手術のパイオニアです。人間の心臓移植手術を行なう前に、およそ400匹の犬を実験として使用していました。
膨大な経験を積んだ実験にもかかわらず、不測の合併症により最初の患者は死亡してしまいました。
1980年、スタンフォード大学は試験管研究と人を対象とした医学実験を積み重ねることで、成功率を1年で65%にまで改善しました。
 
両種間で自然発生する条件を考慮に入れたとしても、手術結果には何ら関係することはありません。
十字靱帯断裂、これは膝の病気で人と雑種犬の両種に良く発症する病気ですが、これは互いにまったく異なった方法で治療されます。
関節鏡視下の治療は人間の処置に大きな変革をもたらしました。しかし、犬にとっては失望させる結果にしかなりませんでした。
薬物実験に際して、「人より先に犬が実験対象になり得る」という考えはいかがなものでしょうか?
 
安全性の確保としては必要かもしれません。 いいえ、そうではないかもしれません。
 

医学資料には犬の実験にパスした薬物が散乱しています。 しかし、現在これらの薬物が人間にとって危険であると証明されました。

すなわち・・・
抗うつ剤のZelmidはラットや犬では問題なくテストされていました。しかし、人間には深刻な神経学的問題を引き起こし、肝臓障害を引き起こしました。 止痢薬のクリオキノールは犬での実験は成功しました。しかし、人間には盲目と麻痺を引き起こすと発見され、その後、1982年に世界中の病院から排除されました。
動物実験後、科学者は「クリオキノールが神経毒性であるという証拠は何にひとつない。」と証言しつづけました。
 
一般によく出回っている鎮痛剤のイブプロフェンとアセトアミノフェンはMotrinやTylenolなどの薬剤メーカーなどから普通に販売されています。
人間はそれらの鎮痛剤を使用しても何の異常も認められませんが、実は犬に腎不全を引き起こす傾向があるのです。
「すべての薬剤がすべての種に同様に作用する」という考えは今に始まったことではありません。
初期麻酔薬のひとつであるクロロフォルムの開発者は1800年代に下記のようにコメントしています。
「麻酔薬のクロロフォルムは犬(特に幼犬)にとって猛毒だったため、初期段階では犬で実験され、人への投与は何年間も差し控えられています。」
 
人間に対して「犬と同量の投与」を行なうという決定でさえ、不安材料が多いと熟慮されています。
例を挙げてみましょう。
 
一般成人は、ミニチュア・プードルと同量のdiphenhydramine(有名な抗ヒスタミン剤)を服用することができます。ミニチュア・プードルの体重は20ポンドで、平均的な人間は150ポンドも体重があるという事実にもかかわらずです!
 
ドンペリドンは嘔気嘔吐の薬剤ですが、心拍を不規則にさせたり、規則的にさせることができます。しかし、研究者はこの症状を犬で通常の70倍で実験しても、再現させることができませんでした。
 
医学的な失敗の一覧は動物実験が繰り返されてきたという事実に帰着します。しかし、人間には知識と理念があります。
責任ある飼い主が保護施設内で「親友」を死亡させてしまうなんてことが無くなる日を、我々人間は望んでいます。
 
しかし、その日が来るまで真剣にこの問題に取り組まなければなりません。
研究室で最後の犠牲となるべき犬たちが永遠にいなくなる日まで…。
 

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