2023年12月11日、参議院本会議で串田誠一議員がアニマルウェルフェアについて岸田文雄首相に質問。串田議員は、アニマルウェルフェアへの取り組みが投資および国の経済にどれほど関わりがあるのかを説明し、さらに「農水大臣の所信には、アニマルウェルフェアのアの字もありません。人さえ良ければ動物はどうでもいいのでしょうか。動物はモノではありません。総理は、日本が世界で最も動物に冷たい国であるという評価を受けたことに、どのような認識なのでしょうか。」と詰め寄りました。この質問に対する回答の中で、岸田首相はご指摘の世界評価を踏まえると、我が国の畜産業界においても家畜を快適な環境で飼育し、ストレスを軽減するアニマルウェルフェアを着実に進めていく必要があると述べ、アニマルウェルフェアを進めていく必要性を強調しました。さらには、その取り組むべき主体として「国産畜産物を原材料として利活用する食品関連企業」を挙げたことも重要な観点です。生産者がどうではなく、食品企業が取り組まなくてはならない課題になっており、それを国も認識をしているのです。2021年の総理大臣であった菅元首相は「動物を丁寧に扱う、そういう趣旨だと理解している」という程度しか答えていませんでしたが、あれから3年弱、アニマルウェルフェアは食品を扱うすべての企業にとって、取り組まなくてはならない重要な課題という認識に、国も、変わったのです。もちろんまだまだ国の取り組みは不十分です。食品を扱う企業は世界最低ランクの日本政府の先を進まなくてはなりません。アニマルウェルフェアを後回しにせず、今すぐ、実効性のある目標を設定し、着実にビジネスに反映させていくことを望みます。(下記に質疑全文を文字起こししたものを掲載)アニマルウェルフェアに関する本会議でのやり取り全文串田議員の質問現在、世界の投資市場でESG投資は大きなウエイトを占めています。2020年のESG投資額は35.3兆ドル、日本円にして5千兆円で世界の投資額の36%を占めています。このESG投資の基準に、動物福祉・アニマルウェルフェアが強く関連しています。本年通常国会でも、野村農水大臣がアニマルウェルフェアに着目する投資機関は拡大傾向にあると答弁しています。世界から投資を集めることができれば、日本の経済が活性化され、また、円の需要も高まります。世界が注目するこの分野で出遅れると、日本への投資が遠ざかり、逆に、円の需要が低下します。世界動物保護協会の世界評価において、日本の畜産動物のアニマルウェルフェアは世界最下位のGで、本年通常国会の農林水産委員会参考人質疑で、全国農業協同組合連合会常務理事は、畜産に関する3つの重要課題のうちのひとつを、アニマルウェルフェアにしっかり取り組むことと答弁されました。これは、生産者の代弁者とも言える全国農業協同組合連合会が、アニマルウェルフェアを看過できない重要課題として認識している危機感の表れとも言えます。アニマルウェルフェアを進めることは、動物に優しいだけではなく、国を豊かにし、人の心を温かくすると考えます。ところが、令和4年度のこの分野に対する国の施策はどうでしょうか。農水大臣の所信には、アニマルウェルフェアのアの字もありません。人さえ良ければ動物はどうでもいいのでしょうか。動物はモノではありません。総理は、日本が世界で最も動物に冷たい国であるという評価を受けたことに、どのような認識なのでしょうか。アニマルウェルフェアとESG投資の観点から伺います。日本維新の会は可処分所得を増やす現実的な施策を提示しています。アニマルウェルフェアなど世界の潮流をつかみ、我が国も、人にも動物にも優しい、誇れる国にして参ります。ご清聴ありがとうございました。岸田総理大臣 答弁アニマルウェルフェアとESG投資についてお尋ねがありました。ご指摘の世界評価を踏まえると、我が国の畜産業界においても家畜を快適な環境で飼育し、ストレスを軽減するアニマルウェルフェアを着実に進めていく必要があると考えます。この点は、ESG投資においてアニマルウェルフェアが重視される中で、国産畜産物を原材料として利活用する食品関連企業をはじめとして、我が国企業へESG投資を呼び込む観点からも極めて重要であると考えます。本年7月には国際標準に沿った飼養管理指針を策定したところであり、指針の実施状況をモニタリングし、その結果も踏まえつつアニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の普及に取り組んで参ります。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleスーパー“なごみマルシェ菊屋”が将来に向けてのケージフリー宣言 Next Article11月のアクショングループ活動報告 2023/12/11