家に鶏肉がある?それは危険です

鶏肉のサルモネラ菌やカンピロバクター菌のような食中毒菌汚染については、これまでも取り上げてきた。この高確率での汚染について、政府も行政も当たり前のこととして考えている節があり、どの注意喚起でも”加熱処理”すれば大丈夫と書かれている。

それは本当だろうか。単に加熱といっても様々な分数、手法があるわけだが、温度や分数が足りていなければ生き残る可能性はあることがわかっている。1 2

だが、加熱不足よりも危険なのは、交差感染だ。

鶏肉を直接鍋に入れて調理するのではなく、多くの場合、冷蔵庫に入れたり、皿に移したり、まな板に乗せたり、包丁で切ったり、トングで掴んだり、手で掴んだりするだろう。この時に菌が移っていくということだ。

ヨーロッパ6カ国の87世帯を対象にした調査では、鶏肉に由来するカンピロバクターやサルモネラがまな板やシンク、スポンジ、包丁、キッチンクロスなどに付着していたことがわかっている。平均汚染率は57%だった。

生の鶏肉から調理器具を介してサラダなどの加熱しない食品にカンピロバクターやサルモネラが移る確率が高いことが示された特にカンピロバクターは高い移行率を持つという。サラダに知らずに入りこまれたら、生で食べざるを得ない。

しかも、洗っても落ちない。カンピロバクターに汚染された鶏肉を扱った後、洗った後でも手袋やまな板に菌が残っていることがわかっている。また、同じ研究では凍らせることによる菌の減少も調査しており、その結果、4日間ほどは減少があまり見られず、4日後に減少してもその後菌が消えるわけではないことも証明されている。

鶏肉のパックや包装ビニールにももちろん付着しており、これらの外部にも付着していたという研究もある。

手に付着して菌が移動することも多々ある。鶏肉を触った手で蛇口をひねれば蛇口にも付着するだろうし、けっこう大変なことになる。

日常的な清掃方法では菌が十分に除去できないサルモネラやカンピロバクター、しかもサルモネラ菌は乾燥した場所であっても1週間は生き残る菌だ。目に見えない菌を清掃しきれるかというとそうではないだろう。

これらの菌とおさらばするためには、漂白剤を高濃度で使用しない限りむずかしいという

2025年4月に開かれた院内集会では、アニマルライツセンターから日本の鶏肉の菌の感染率や薬剤耐性菌の高さを指摘したにも関わらず、厚生労働省は改善策を取ろうとはせず現状維持を決め込む発言をしていた。それでいいのだろうか。世界がこれらの菌の発生をより抑えようと努力する中、加熱すればいい、今のままでいいと決め込む(発生率は上がっているようだが)国や行政の姿勢はいかがなものだろうか。

これらはただ、カンピロバクターやサルモネラの食中毒が危険なだけではない。これら動物由来の菌が、高い割合で薬剤耐性菌であるという点が人間の安全性を将来にわたり、脅かすのだ。

飼育密度が高く、屠殺、加工の工程も昔のままの日本。動物の飼育改善については一切対策を打とうとしない日本。菌を発生させないという発想が欠如している日本。日本は衛生観念が高いと勝手に思い込んでいる人も多いが、実はそうでもないのだ。

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