2022年にケージ飼育から平飼いに移行し、国産飼料用米を用いた飼育を行い、首都圏の生協や地元の直売所、県内外の飲食店等に卵を販売している茨城県茨城町の小幡畜産を訪ね、代表取締役の平井真美さんにお話を伺いました。
初冬のやわらかな日差しが注ぐ穏やかな午後、小幡畜産の鶏たちは、クゥクゥクゥと地面を突いたり、羽ばたいたり、思い思いの時間を過ごしています。
「敷料をサラサラにしておくと喜んで砂浴びします。また、いじめられている子はいないかなど、日頃の細やかな観察が欠かせません。鶏たち振り回される毎日です。」という平井さんは、大変さを語りつつも、表情には鶏たちへの深い愛情がにじみます。
Q:飼育羽数は?
12棟の鶏舎があり、定期的に棟ごとに育雛場(いくすうじょう)から700羽ずつ受け入れています。常時1棟は次の受入準備のために空けていますので、合計の飼育羽数は約7,700羽です。
Q:平飼いの設備について教えてください。
いつでも自由に給水、給餌ができるようになっています。それと止まり木です。卵を産む場所として、部屋の隅に巣箱を設置しています。

Q:鶏たちが寄ってきますね。
見知らぬ訪問者に興味津々なのでしょう。もっと若い鶏たちの鶏舎では、一斉にこっちに向かって駆け寄ってきて、幼稚園児みたいで可愛いですよ。
Q:穏やかに過ごしている感じです。
朝は結構賑やかですよ。午前中に卵を産んで今は鶏たちものんびりした時間帯なのです。また棟によって穏やかだったり、荒っぽかったり性格が違います。品種は同じなのですが(国産鶏もみじ)、複数の育雛場から受け入れているので、育雛場の環境が影響しているのかなと思っています。
あとハウス周辺の林の影響で、日射の状態が違うのでこれも影響しているのかもしれません。
Q:棟の鶏たちがいる部屋の外に数羽だけ鶏がいるのは?
いじめられっ子を避難させています。またいじめっ子も隔離しています。こちらの方が重要で、1羽がつつき始めると周囲が真似をして、いじめっ子がどんどん増えていきますので。
Q:こちらの棟の鶏たちは若いですが、これで何日くらいですか?
137日齢です。そろそろ卵を産み始めていますが、出荷はしません。産み初めの卵はピンポン玉より小さくて、味も未熟な感じです。また身体を作るために、餌も他とは違います。また巣箱に擬似卵を置き、巣箱で産むトレーニングをしています。
Q:平飼いに移行されたのはなぜですか?
元々、40年来ケージ飼いをやっていた養鶏農家が亡くなり、後を引き継ぐことになりましたが、老朽化した鶏舎や設備を更新するにあたって、鶏を狭いカゴにとじ込めて卵を産ませるケージ飼いを続ける考えがもてませんでしたし、世界の趨勢を考えると平飼いしかないだろうと決断しました。

Q:テレビなどで見るケージ飼育の無表情の鶏と違い、伸び伸び過ごす鶏たちの姿に感動しました。
ケージ飼育の時は「卵を産む生き物」という感覚でした。平飼いで本来の鶏らしい姿に触れて、飼育する側も罪悪感がなくなり、本当によかったと思っています。
Q:消費者へのメッセージをお願いします。
穏やかな気持ちで大事に育てた鶏たちの卵は、おいしく食べていただけると信じています。卵を通じて鶏たちの幸せが伝えられれば。
Q:これから平飼いを目指す人にもメッセージを。
効率重視でケージに詰め込み輸入飼料に頼る従来の養鶏は、持続可能とは思えません。経営は楽ではないですが、たくさんの人がチャレンジして欲しいです。
小幡畜産の鶏たちが、自由に探索し、見知らぬ来訪者に興味を示す姿は、驚くほど「自然で普通」な光景でした。
私たちがスーパーで手にする安価な普通の卵は、逆にこの「自然で普通」とは対極にある、狭いカゴの中の不自然な環境から生まれています。平井さんがおっしゃった「ケージ飼いの頃は卵を産む生き物という感覚だった」という言葉に、私たちはもっと敏感になるべきかもしれません。不自然な高密度飼育は、鶏の苦痛だけでなく、薬剤耐性菌や第二、第三のパンデミックのリスクとして私たち人間にも返ってくるからです。
平飼い卵を選ぶことは、鶏と人との「普通のあり方」を取り戻す選択なのだと感じました。「平飼い卵が普通の卵」となるように、次にお手に取る1パックから、私たちの消費の形を少しずつ変えていきませんか。
レポート:アニマルライツセンター新聞部












