日本もケージフリーに移行していくためには、1.48%のケージフリー率だととてもじゃないが足りない。日本企業が海外企業のようにケージフリーコミットメントを出さない理由の一つがこれだ。供給が1.48%しかないのに、ケージフリーにするんだとは約束できないと言われ続けてきた。
この課題を解決するためには、初期投資にかかる費用の国の補助が必要だ。これまでも畜産クラスター事業の中で賄うことは可能だとされてきたが、この補助を使う場合には収益性の向上や規模の拡大が求められ、工場畜産の効率化を緩める形となるアニマルウェルフェア施設の整備には使いにくいものだった。
令和7年度補正予算では、この収益性や規模拡大要件が外れるという重要な変化がもたらされた。
畜産クラスター事業が収益性向上タイプと持続性向上タイプに分けられ、持続性向上タイプは「収益性に直ちに結びつかない取組も支援」と明記され、アニマルウェルフェアを成果目標としてもつことが含まれたのだ。つまり、成果が収益ではなく、アニマルウェルフェア向上で良いということだ。
ケージから鶏を外に出す、ストールから豚を外に出すことでアニマルウェルフェアは明確に向上するため、この変更によってケージフリーや妊娠ストールフリーへの補助申請のハードルが大きく下がったことになる。
もちろんこれだけではまだ不十分だ。4月の農林水産委員会でケージフリー、ベターチキン、妊娠ストールフリー、つなぎ飼いフリーの設備投資のための補助を求めた山田勝彦議員は、農林水産省からこの補助金の改善の説明を受けた際に、「取り組みたいと思っていても現場レベルで取り組みを進めていくには、ちゃんとシンプルに、そこに対する支援事業があるということが大事」と、よろい現場が取り組みやすい形の補助を継続して求めた。

アニマルライツセンターでは”ケージからケージフリーの卵に変えるという需要”を創出するとともに、供給を追いつかせるための対策として国にケージフリーや妊娠ストールフリーにも利用可能な補助金を求めてきた。北野裕子議員が努力する農家への支援を求めるなど環境委員会でもアニマルウェルフェアを目的とした補助が必要だという意見がでていた。アニマルライツセンターでも署名運動や対話を行うなどしてきており、食鳥処理場でのアニマルウェルフェアへの補助事業に続き、農場内のアニマルウェルフェアについても、ようやく国に国民の意見が届き始めたようだ。
ケージ飼育の農家のなかには、ケージフリー飼育にトライしたいと思っている農家も多数いることがわかっている。妊娠ストールフリーに切り替えたい養豚農家も昔から多数いるのだ。かれらの動物に配慮したいという気持ちが実行に移ることを願う。












