新型コロナウイルスCovid-19が、世界の経済も、人々の健康も、社会の持続可能性もおびやかしている。SARSのときよりも、より人々に与える影響は大きいように思える。そんな中、いくつかの国が根本的な解決に向かうための1歩を踏み出し始めている。その重要な一歩とは、【野生動物の取引禁止】である。Covid-19は武漢市場の野生動物市場が発祥地であるという可能性が高いようだ。そこでは生きたまま、またはその場で殺すなどして野生動物が売買されていた。Covid-19の発祥地となった中国は大幅な取引制限が決定2020年2月24日月曜日、中国人民会議の常任委員会第16回会議は、野生動物を食用に狩猟、取引、輸送、消費することを包括的に禁止した*1。対象として、「重要な生態学的、科学的、社会的価値のある陸生野生動物」および人工的に繁殖・飼育された陸生野生動物である。さらには、非食用であったとしても、野生動物を利用する科学研究、医療用途、展示などの特別な状況については、関連する国内規制に従って厳格な検査と承認および検疫検査を実施することを規定しているという。具体的にペット飼育という言葉は出てこないし、主な目的は野生動物を食べることを廃止させたいというものであるが、そのために取引が包括的に、飼育も含め、禁止されるのだ。とはいえ、例外がある。家畜に(無理やり)分類された野生動物種があり、毛皮農場などは当規制の対象にならない。中国では毛皮を剥がした後のキツネやタヌキを地元の貧しい人々が食べることがあるときくが、これは規制されないのだ。しかし、これまでの非常に限定的だった規制が大きく範囲を広げ、野生生物取引は違法になり、罰則もあるようだ*3。2月28日には「新型肺炎の流行後、地方の公安機関は野生動物を含む776件の刑事事件の調査を開始し、1,804件の行政事件を調査し、2,556人の取り扱いを取り締まり、88,000頭の野生動物(のみ)を押収し、市場、レストランなど293,000箇所を共同で検閲し検査しました。」「750,000を超える野生動物取引情報のスクリーニング、削除、ブロック、または削除を行い、17,000のオンラインストアまたはアカウントを閉鎖しました。」*6と発表している。動き出したら早いのが中国という国だ。ベトナムがこの動きに続くベトナムのNguyen Xuan Phuc首相は、農業農村開発省に対し、野生動物の取引と消費を禁止する指令を「迅速に」作成し、4月1日までに政府に提出するよう命じたという*5。最高議会の立法委員会のスポークスマンであるZhang Tiewei氏は、この禁止は「伝染病の予防と抑制にとって重要な瞬間だ」と述べている。まだ司令が実行力を得るのかどうかは不明だが、世界の意識は野生動物取引の禁止に傾きつつある。当然だ。これだけ多くの人々が影響を受け、経済が影響を受け、まるで今はじめて社会の持続可能性が危ういって気がついたかのようにパニックになっているのだから。日本でも環境委員会で野生動物取引制限に言及2020年3月10日、衆議院環境委員会で重要な質疑が行われた。立憲民主党堀越啓仁議員は、中国での禁止措置を紹介し、日本での取引の現状と、展示動物の飼育環境の酷さに触れた。そして以下のように述べ、野生動物取引の制限を求めた。当然ですけれども、こうした劣悪な飼育環境のもと飼育をされれば、動物はストレスになるわけですから、本来の免疫を低下させるということになる。そうすると、もともとウイルスや菌と共生して暮らしていた動物から感染症が発生することになりかねないということ。これは、今世界でも、ワンヘルスの概念からしても取り組まなければいけない、動物の福祉について取り組むということは人間の健康を守ることにつながるんだという概念が今世界ではどんどんどんどん高まりを見せていますので、こうしたリスクもあるということですね。(中略)正直、今や、新型コロナウイルスが世界的に蔓延する状況下で、この程度(動物愛護法改正時の付帯決議4項)の対策では全く私は不十分であると思いますし、明らかに予防は治療にまさる状況であるというふうに思っておりますので、この野生動物種の取引については厳格に制限をしていかなければいけないんだろうと私は思っています。そこで、野生動物種の取引について早急に、そして厳しく制限するべきと私は考えておりますが、これに係る政府の見解と、今後どのような対策をとられるのかをお答えいただきたい残念ながらこの重要(動物にとっても、人にとっても!!!!)な質問には環境省も大臣も答えなかった。しかし、日本での野生動物(野生化の動物も飼育下の動物も含め)取引は非常に多く、密輸も度々起きているような状態であることを考えると、次のリスクになることは間違いがない。私達は、今こそ、日本も野生動物取引の禁止を決断すべきときであると考える。そうでなければ、次の新型〇〇ウイルスや、新型〇〇熱などが出て、人の社会の持続可能性は、再び、脅かされるだろう。その発祥地が日本になる可能性は十分にあるのだ。中国は大国であるから、発祥地になったとしても強い国で居続けられるが、日本はどうか。強い国際非難を受ければ、潰れてしまうのではないだろうか。不安に思う。動物を守ることは、人を守ることにつながる。動物への暴力は人をも滅ぼす可能性がある。この数ヶ月、あらためてそれを強く感じている。 *1 http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202002/3f7d5fecd09644239ac80f21385ba834.shtml http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202002/74a850a51661458390c9ae89e35b3807.shtml *2 http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202002/c56b129850aa42acb584cf01ebb68ea4.shtml *3 http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202003/677fab97afc648ab95d4ec49e0a24977.shtml *4 http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202003/0d86135329ac44efaaae653fbef57ee2.shtml *5 https://e.vnexpress.net/news/news/vietnam-to-ban-wildlife-trade-following-conservationists-demand-4066078.html *6 http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202002/7aa6d8ab8a774895a3b44998df6016ab.shtml クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article動物福祉(アニマルウェルフェア)を考える議員連盟発足! Next ArticleOIE採卵鶏の動物福祉規約案をめぐり、自国のレベルの低さを宣伝する日本 2020/03/13