アニマルウェルフェア(動物福祉)推進ネットワークより自宅などに飼育不可能な数の動物を集め、手放すことができない精神状態に陥っている人のことを言います。(アニマルコレクターと呼ばれることもある)アニマルホ―ダ―には自家繁殖を繰り返す飼養者や、動物保護を目的とする救助者など、いくつかのタイプがありますが、動物が増えていくにつれて世話ができなくなり、著しい過密状態で、病気、餓死、共食いなどが広がり、次第に事態の収拾ができなくなっていきます。(アニマルホ―ダ―の70%~80%が生活区域に動物の糞尿や死骸などを放置していると言われている)極めて不衛生な環境のため、パスツレラ、白血病、猫エイズなどの感染症や皮膚病、骨格異常などが蔓延し、動物たちの多くは安楽死をせざるをえない状態で発見されますが、人間にとっても多量の排せつ物の蓄積は、人畜共通感染症の温床となり、公衆衛生上、深刻な問題となっています。 アニマルホ―ダ―には、強迫神経症、依存症、収集癖などの精神疾患があると言われ、アメリカでは病理的な問題として、1990年代から動物愛護団体HSUS(The Humane Society of theUnited States)とタフツ大学が研究を始め、アニマルホ―ダ―に関する多くのデータや問題解決に向けたマニュアルを発表しています。 アニマルホ―ディング研究協会(HARC) (http://www.tufts.edu/vet/hoarding/)アニマルホ―ダ―の定義管理可能な限度を超えた動物を飼育(収集)している。(善意のレスキュー活動を名乗り、シェルターと称して動物を抱え込むケースも多い) 最低限の給餌や衛生面での配慮、居住スペース、獣医療等の提供ができない。 状況の悪化に対する危機感が希薄で、動物を飼い続け、増やすことに執着する。 過剰多頭飼育が、動物だけでなく、本人および周囲の人間にも深刻な健康被害を及ぼしていることを認識できない。アニマルホ―ダ―の特徴 飼育している動物は様々だが、比較的小さく家の中に隠しやすいため、猫を収集するホ―ダ―が多い。(犬のホ―ダ―は、鳴き声などの苦情が来るため、多くは郊外や山の中などに住んでいる) 2/3~3/4は中高年の女性だが(半数は独身または一人暮らし)、若い人や夫婦もいる。 社会的、経済的に恵まれない人が多いが、中には高学歴できちんとした職歴を持ち、世間的には異常者と認められない場合も少なくない。(匂いがつかないよう服だけ別の場所に置き、外で着替えて出勤するなど、巧妙に隠している人もいる) 適正な飼育管理ができず、糞尿や死骸を放置するなど、動物を悲惨な状況に追い込みながら、本人に動物虐待をしているという自覚がない。 動物を手放すことに強い不安を感じ、里親探しなどをほとんどしない。 また、改善の要請や救助を申し入れる愛護団体や行政を敵視することも多い。*その他、繁殖、売買を目的とするブリ―ダーが、売れずに飼育放棄をするケースもある。アニマルホ―ダ―への対応策アニマルホ―ダ―の常習率はほぼ100%と言われ、たとえ動物を没収されても、すぐに また動物を集め始めようとするため、多くの場合、単に飼育頭数を減らしたり、法で裁くことは本当の解決にならないと言われています。(起訴に持ち込むこと自体が難しく、刑罰も軽い)前述したHARCでも、問題の介入、改善には、精神医学的な「心のケア」が重要で、動物管理局、動物公衆局、社会福祉局、住宅局、警察、消防、裁判所などの行政機関のほかに、 獣医師、心理学者、動物福祉団体、一般市民、ボランティア、家族、友人など、様々な関係団体、個人が連携し、生涯に渡る監視を含めた長期的な取り組みが必要と述べています。 *アニマルホ―ダ―は、一見、動物愛護家や動物保護ボランティアなどと区別がつきません。生活のすべてを捧げ、かわいそうな動物を救っている善意の人として、社会がその犠牲的活動を称え、愛護精神に感動した人たちや家族に支えられている場合もあります。多くは実態を見ていないため、その病理に気がつきません。中には、行政が、動物保護ボランティアとして、アニマルホ―ダ―に犬猫を譲渡しているケースすらあります。 動物のサンクチュアリと称して、終生飼育を謳い、多額の募金を集めた末に、窓のない部屋に数百頭の犬を押し込み、病気を蔓延させ、発覚時にはほとんど処分せざるをえなかったというアメリカの事例がありますが、日本でも同様の事件は頻繁に起こっており、発覚していないアニマルホ―ダ―はまだまだ数多く存在しています。保護活動をしていると言いながら自宅を絶対に見せない、すでにたくさんの動物がいるにもかかわらず、行き場のない動物の情報が入るとすぐに引き取ろうとする、動物の数が増えても里親探しをしている形跡がないなどの場合は、アニマルホ―ダ―の可能性があります。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article神奈川県保健福祉部との交渉 2013 Next Article生体販売の裏側の動物たち 2014/07/07