「落語は優しいぞ。殺さねえじゃねえか」故立川談志はそう言っていたという。 落語では動物を貶めたり殺したりする噺はなく、江戸時代から人間と動物の共生がごく当たり前に語られているのだ。 立川談志はまた「動物は、優しいよ。無駄な殺生はしないじゃねえか。」「生産は、悪だ。」 とも言っていたという。その立川談志の弟子、立川平林は動物愛護に取り組んでいる落語家である。 2015年6月27日。立川平林の落語の演目は 古典落語三席(勘定板・金明竹・猫の災難)、それに動物愛護の落語一席。 立川平林が高座に上がると、初めのつかみの部分から最後の演目「猫の災難」まで一気に観客は引き込まれる。役柄交代のときの間合い、声のトー ンや、身振り、すべてがピタリと絶妙に組み合わさって観客を笑いの渦に巻き込んでいく。うまい。 笑いながらも「金明竹」「猫の災難」をきくと動物への思いやりは特別なものではなく生活にしみこんだ当たり前のものであることを感じる。まさ に「落語は優しいよ。」故立川談志の言うとおりだ。古典落語に続く「動物愛護の落語」では一転して笑いはなくなり、観客の表情は真剣なものに変わる。 立川平林創作の動物愛護の落語では、犬猫の販売が殺処分とどう関わっているのか、「きん坊」「おとっつぁん」「ご隠居」の三人が登場して、繁 殖犬やペットオークション、動物愛護管理法について話が進む。 「犬猫の命がビジネスになるサイクルがある以上、殺処分はなくならない」 「生体販売は非難されなきゃおかしい。」 最後にご隠居はおとっつぁんに『どうすればいいのか』を語る。「みんなに知らせるんだな。世の中変わるときゃ一瞬で変わる!お前も伝えろよ!」ご隠居のこのセリフは「今一番伝えたいのは動物愛護」だと言う立川平林の気持そのままだ。 「動物愛護の落語」ではただ現実を伝えるだけではなく「どうしたらいいのか」が具体的に示されており、そこに立川平林の強い意思を感じる。「動物をないがしろにする社会を変えたい」立川平林の落語では、登壇から最後の安来節どじょうすくいまで、笑いの中にも随所に動物愛護がちりばめられている。 上方落語の「蛇含草」を引き合いに動物実験の話しも出てくる。 「蛇含草」はヘビの腹薬を飲んだ人間が、溶けてモチになってしまう噺。 「動物に効く薬が、人に効果があるとは限らない」と動物実験の不毛さにも立川平林は触れる。 最後の安来節はどじょうすくいでは、すくわれたドジョウは田んぼに戻されるというオチ付きだ。テレビのバラエティやお笑い番組では、動物の尊厳が無視された内容であったり、動物の命を軽視した発言で笑いをとるということが少なくない。 それに心を痛める視聴者もいる。落語は写真も動画も見せず、たった一人、語りだけで観客をつかんでいく。他者を貶めることで笑いを取るということもない。まさに上質な日本の エンターテイメントといえるだろう。立川平林独演会 問合せ先・詳細 http://ameblo.jp/hirarin-tatekawa/クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleGood News 花王も化粧品の動物実験を廃止!原料ガイドラインへの追加も前向き Next Article2015年6月28日、29日。渋谷で犬猫問題の啓発デモ 2015/06/28