この豚のために気持ちをさいてくださる方から救いたい、なにかしたいと言っていただくことは動物たちにとってありがたいことですし、「この子だけでも助けたい」と感じることはごく自然な欲求であり、私達もそう思いましたし、理解できます。私たちも、何度、目の前の子を保護し、残りの一生を動物らしく過ごさせてあげたいと切望したか分かりません。
しかし、皆さんはもうとっくに気がついていると思います。どんなに強く動物たちを救いたいと願っても、私達も、そしてすべての人々も実際にこれまで何億、何百億の動物を救えず、見捨ててきています。目の前にいようと。
屠殺場の前に立てば、一日で何万羽の鶏や、何百頭の豚や牛が運ばれてくる。身に起こることを察知した悲しげな鶏や豚や牛たちの様子を、悲鳴を上げる子たちを私達はただ見守っています。私達は豚や鶏や牛たちの軽すぎる命の扱いの前に、状況を把握し伝え、また改善を求めることしかできません。
何億、何兆という動物たちが虐待的環境の中、苦しみながら生き、恐怖の中で殺されていきます。その実態を知らせ、人々(農場や企業や行政含め)の行動を変えてもらえるようお願いすることが、今私達にできることです。
殺される姿、苦しむ姿を私達は調べ、撮影し、伝えます。自分たちの活動は、心の冷える活動だと確かに思います。それでも、冷たいと言われようと、見捨てていると批判されようと、自分の欲求や感傷よりも、これからも毎年犠牲になる年間700億頭の動物の苦しみを効果的にへらし、なくす方法を重視し、選択し続けたいと思います。
アニマルライツセンター 理事一同
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