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アニマルライツセンターは、全ての主張において、その動物らしいあり方に近づけること、動物の苦痛をより軽減することのために活動しています。私たちは、主に人間の飼育下の動物を運動の対象にしています。 一つだけの主張に依らず総合的に判断し、個々の動物と将来生まれる動物を含め客観的でありたいと考えています。時にその判断は難しく、調査内容や専門家の意見を踏まえた上で、議論をして運動の方針を決定します。動物は動物自身が運動の方針を決められないため、より慎重になる必要があります。
動物はあらゆる場面で不当に利用され苦しんでおり、その根本的な原因は「動物を利用してもよい」「動物を差別してもよい」という種差別の意識であることは共通しているものの、それぞれの発生原因、動機、解決方法は異なります。そのため、アニマルライツセンターはそれぞれの課題において、解決方法を検討し、提案しています。
また、私たちの運動は社会システムを変えていく運動です。その結果はすぐに反映されるものではありません。変化をしていく段階でも、多くの動物が苦しみ死んでいきます。社会システムの変革から、最底辺で苦しむ動物たちを取り残さないために、アニマルウェルフェアの改善と動物利用の削減の両方を目指します。現在アニマルライツセンターは日本社会でより取り組みが遅れ、取り残されていく可能性の高いアニマルウェルフェアの改善により比重をおいて活動をしています。
なお、アニマルライツセンターは効果的利他主義の考え方に基づいた活動を行っています。効果的利他主義についてはこちら。
畜産動物と呼ばれる鶏、牛、豚は、もっとも虐げられている動物の一種です。現在の日本の畜産動物たちは、その工場的畜産場での生態を一切無視した不自然な飼育下(閉じ込め、拘束、麻酔なしの身体の切除や施術、劣悪な環境等)にあります。この環境の改善は、動物たちに利益をもたらすのみではなく、人間の健康(食の安全)や持続可能性にも強く寄与するものであり、よりスピーディーに改変される必要があります。 動物の環境を改善し、動物の福祉の5つの自由を実現するという工場畜産をなくしていく運動とともに、畜産物の消費を削減することも目指しています。幸い、現在動物性タンパク質から植物性タンパク質への移行は企業が新たな市場として自ら参入するようになっています。アニマルライツセンターは日本社会が取り残しているアニマルウェルフェア向上に重きをおいて活動を展開しています。その過程で動物性タンパク質の削減にも取り組みます。動物に対する暴力は、人間社会の暴力性の助長につながり動物への暴力の最たる形である工場畜産がなくならなければ、いつまでたっても動物が苦しみの中に取り残されるだけでなく、人にとっても平和から遠い社会で有り続けるからです。
毛皮やウール、フェザー、アンゴラ、ダウン、レザーなど、毎年何百万もの動物が、ファッションのために殺されます。その動物性の’素材’は、世界中から集められており、その生産の工程には殆どの場合虐待的な飼育や殺害が含まれています。 ミンクやキツネ、タヌキ、うさぎなどの動物たちは、毛皮のために劣悪な環境で飼育され、無残な殺され方をしていることが複数の調査により明らかになっています。ワニ皮のために多くのワニが繁殖され無残な方法で殺されていることも明らかになっています。アンゴラウサギやフェザーに使われる鳥が、恐ろしい方法で毛を引きぬかれていることも明らかになっています。 革(毛皮含む)のなめしによる環境汚染や健康被害が起きていることも明らかになっています。 動物性の素材の使われた衣類や小物を購入するということは、これらの非人道的な行為に投資し加担するということです。 ファッションのための犠牲は、今すぐにでもなくしていくべきものであると考え、消費者の責任のある消費、企業の責任ある素材の選択を促しています。
日本では、毎年1000万頭以上のマウス、ラット、犬、猫、豚、モルモット、猿などが、実験台として使われています。動物実験は、医療分野だけでなく、化粧品や食品、殺虫剤など様々な分野で行われており、その必要性は精査されていません。また、監視システムや順守すべき規制もなく、更には日本のどこで動物実験が行われているかも、行政すら把握していません。 完全に隠された中で、動物たちは体を改変され、病気を埋め込まれ、傷を作られ、未知の物質を試しに投与され、切り刻まれ、最後は必ず殺されます。動物実験は、全ての苦痛や苦悩を凝縮したものであり、動物の全ての尊厳を奪う行為です。 動物と人との間では種差があるため、その薬効試験も毒性試験も、その動物種にとっての薬効や毒性を見ているにすぎません。多くの医学者が動物実験は無用であるとして、反対しています。彼らは人間のデータに基づいた試験方法の開発にシフトすべきだと主張しています。 法的義務のない動物実験をなくすこと、化粧品のような不要な動物実験は法的な義務をなくすこと、動物実験ではない人ベースの試験方法の開発を促すこと、そして最終的には動物実験をなくすという目標を行政や企業、研究者が取り入れること(EUは期限は設けられていないものの、すでにその目標を共有しています)が必要です。 私たち人間には、より人道的な手法を選択し、開発していく力があるはずなのです。
動物園や水族館で’展示’されている動物たちは、他の問題に比べればまだましな状態に見えるかもしれません。しかし、その個々の動物は、一生を監獄に閉じ込められている状態。数年~数十年、家族や仲間と引き離され、すべての自由を奪われています。 日本の動物園のほとんどがネグレクト虐待状態です。多くの動物園で常同行動などの異常行動が見られ、自然な行動は失われています。子ども達は、囚われの身の異常行動を起こす動物を見てもその動物の生態、多様性、感情、自然の尊さなど、なにも知ることは出来ません。子どもたちの中には動物の大きさや姿を知り感動する子もいるかもしれませんが、その裏側に隠されたその動物の悲劇には気が付きません。 動物園は種の保存に役に立つという主張をしますが、種の保存は、その動物が本来いる地域で、密猟や自然破壊などの問題を解決し、自然保護区や擬似自然保護区(サンクチュアリ)で真剣に取り組むべきです。動物園という娯楽を目的にし狭いエリアに監禁しながら多くの人目に晒し、そしてその個体の全ての自然の権利を奪って行うべきものではありません。 動物園、水族館はなくしていき、同時に今の動物園水族館での飼育改善(環境エンリッチメント、行動エンリッチメントの両方を行うこと)が必要です。
犬や猫、鳥、爬虫類、両生類、魚類など様々な形で癒やしや愛玩物として利用される動物は、良い環境で暮らす動物もいる一方で、暴力を受けたり、つながれっぱなしやネグレクト、遺棄などひどい目にあっている動物も多くいます。 これは、動物の個体数が過剰になりすぎていることと、動物福祉についての正しい知識なく誰でもどのような環境でも簡単に飼育し始められるということが生み出している問題です。 犬や猫、鶏など家畜化された歴史の長い動物は、人と昔から共存してきた動物ですが、それは人間が所有して良いということを意味しているわけではありません。しかし動物を飼育管理する以上、私たち人間は動物たちの福祉を守り、より向上させていく義務を負っています。それは愛情の深さのような主観的なものであってはなく、アニマルウェルフェアの5つの自由および喜びなどポジティブな体験ができる自由を含めた飼育環境を用意しなくてはなりません。 すでに多くの動物が不適切な環境にいるにもかかわらず、毎年80万頭以上の犬や猫、その他哺乳類や爬虫類、鳥類はその倍近く、両生類や魚類は数が不明なほど、ブリーダーやペットショップで人工的に繁殖させらたり、密猟(漁)や密輸され売られています。行政による殺処分だけを減らしても問題は解決しません。生き物の売買をやめ、不妊去勢の徹底をし、厳しい飼育基準を法律やガイドライン等で規定し、適切な環境を用意できない人や適性のない人が飼養できない仕組みが必要です。
現在、多くの人が動物を利用することを当たり前として捉えています。しかし、それを当たり前として考えるべきではありません。 動物への暴力の少ない社会は、人にとっても良い社会になりえます。 私たち日本人は、植物性の食べ物で十分に豊かに健康に暮らしていけるようになっていますし、アニマルウェルフェアに配慮された商品も売られています。動物を利用しなくても楽しむ方法をたくさん知っています。動物を犠牲にしないで十分におしゃれも楽しめます。 人は動物を傷つける能力もあり余るほど持っていますが、同時に傷つけない理性、守る能力も持っています。私たちがなにかを購入する際に、その背景を知り、エシカルな選択をしていくことが求められています。自分の欲求に従うだけでは、未来の世代に受けつぐ平和で持続可能な社会は実現できません。 より思いやりのある社会を目指すという選択が十分にできる成熟した社会に、今、変化しつつあるのです。