論文概要
- 食肉を貶めるメッセージ(ミート・シェイミング)は、消費者に否定的な感情を呼び起こした
- シェイミングのメッセージは、罪悪感や羞恥からの回復や防御のための反応を誘発する
- 行動変容の意思に対して健康への警告が与える効果は極めて小さかった
- 罪悪感と羞恥心のレベルが最も高かったのは、アニマルウェルフェアに関するメッセージだった
- 食肉への否定的感情や購買意欲に関して、メッセージの発信源による違いはほとんど見られなかった
肉を食べることによる悪影響は、環境、アニマルウェルフェア、そして人間の健康にまで及ぶ可能性がある。しかし、消費者は肉の消費量を減らすことに消極的であることが多く、情報発信による啓発キャンペーンによる効果はほとんど見られない。これに代わる手段として、一部のヴィーガン活動家や圧力団体は、(肉食を恥ずべきこととして貶める)ミート・シェイミングの手法によって感情に訴えるキャンペーンを採用し、人々の食肉消費行動を変えることを目指している。消費者を公に、しばしば激しく批判することにより、肉を食べることに対して否定的な感情を抱かせ、最終的に行動を変えさせようとするのである。
3つの実験的研究において、食肉を貶めるメッセージを商品に載せるという対決的アプローチを採用した場合、消費者の行動に影響するかどうかを調査した。その結果、食肉を貶めるメッセージは羞恥心だけでなく、他のネガティブな感情も引き起こし、購買意欲の低下につながることがわかった。
どのような感情が呼び起こされるかは、メッセージの内容によって大きく異なった。食肉を貶めるメッセージによって(罪悪感や羞恥からの)回復や防御のための反応が誘発されるため、行動変容が促されることもあれば妨げられることもあった。
興味深い結果として、こうしたメッセージの発信元は問題ではなく、政府組織、活動家グループ、個人によるアピール、情報提供キャンペーンのどれであっても効果に変わりはなかった。メッセージが信頼できる発信者からのものと見られた場合には、消費者の経験や行動の意思には影響が見られた。
Anne-Madeleine Kranzbühler, Hendrik N.J. Schifferstein
2023/02/15
The effect of meat-shaming on meat eaters’ emotions and intentions to adapt behavior