利用しない子牛の扱いを含め、酪農全般に対するオーストラリア地域社会の見方

"The advice? Think bigger": Community perspectives on dairy farming, including surplus calves-An Australian focus group study

Sarah E Bolton, Bianca Vandresen, Marina A G von Keyserlingk

2024/12/16

"The advice? Think bigger": Community perspectives on dairy farming, including surplus calves-An Australian focus group study

論文概要

 

社会は食料生産の現実からますます切り離されつつあるが、それにも関わらず、多くの人々は食料の生産方法について強い価値観を抱いている。本研究の目的は、オーストラリアの酪農生産における持続可能性とアニマルウェルフェアに関する人々の態度について詳細に検証することである。酪農に利用できないオスの子牛を生後まもなく殺処分することや、母牛と子牛を引き離すことは、社会一般の価値観とはかけ離れたものであるが、これらの問題に対する考え方についても調べた。

フォーカス・グループによる3回のセッションを実施し、各セッションには年齢・ジェンダー・収入・乳製品の消費頻度に関して異なるオーストラリア市民8名が参加した。参加者による半構造化されたディスカッションについて主題分析を行った結果、以下の2つの主要テーマが得られた。1.持続可能性、酪農に従事する人々や農業慣行を含めた産業としての畜産、2.倫理的配慮および消費行動を含む、個人レベルでの影響と内省。

持続可能性と動物性食品の消費に関する考え方は、参加者の間でさまざまに異なっており、これはトピックについて考える際の倫理観の違いや、個人の価値観との一致・不一致の影響によるものであった。参加者の多くは、酪農業者の生活が厳しいものであること、乳牛が大切にされていること、しかし経営判断において経済性が優先されるのは止むを得ないことなどを認めていた。

生後まもなく利用できない子牛を殺処分することや、母牛と子牛を引き離すことは、酪農業で広く行われているが、ほとんどの参加者は認識していなかった。しかし、こうした慣行のこと知らせると、これに対する拒否反応が参加者の間で広まった。社会の価値観が進化し続けるなかで、畜産の慣行にはこうした変化に合わなくなっているものがあり、こうした点を理解して改めることは、社会の中で畜産業の持続可能性を維持していく契機となる。

 

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