米国漁業における混獲を包括的に検証し、漁業管理に優先順位を設定する

Comprehensive bycatch assessment in US fisheries for prioritizing management

Matthew S. Savoca, Stephanie Brodie, Heather Welch, Aimee Hoover, Lee R. Benaka, Steven J. Bograd & Elliott L. Hazen

2020/03/20

https://doi.org/10.1038/s41893-020-0506-9

論文概要

 

漁業は野生魚の捕獲によって数十億人の食料安全保障に寄与しているが、対象外の種を捕獲する混獲は生態系の健康と漁業の持続可能性を脅かしている。混獲は適切なモニタリングと漁業管理によって軽減できるが、そのためには混獲についての標準化されたデータが確実に記録され、効果的に共有される必要がある。

本研究では、2010年から2015年に米国の水産業95社から生物種ごとの混獲の記録30,473件を収集し、統合・分析した。魚類・無脊椎動物・海洋哺乳類・海鳥・海ガメについての混獲のパターンを検証し、水産会社ごとの混獲の状況を評価するため、標準化された評価システムとして「相対混獲指数」を開発した。

推定される魚類と無脊椎動物の廃棄量は6年間で合計193万トン(42億6,000万ポンド)に達していた。米国全体での廃棄率は10.5%で、過去の推定値よりも大幅に低いことがわかった。相対的混獲指数の分析結果は、一部の水産会社や漁具タイプに対する管理や介入のための戦略策定に活用することが可能である。これには例えば、混獲の状況が最も不良であったエビ漁やオッタートロール漁、いくつかの表層延縄漁や網漁などが含まれる。

これらの結果は、混獲に関しては継続性があり質の高い情報を容易に入手できるようにする必要があり、米国および世界の漁業管理を支援するうえで重要となることを強く示している。

 

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