論文概要
養鶏は畜産のなかでも最も効率的な方法のひとつであり、世界人口の相当数に対して栄養供給を保障している。現代の集約的な農業技術により、世界の生産量は2020年には1億3,340万トンに達し、毎年着実に増加しつつある。このように集約的な農法はしかし、環境に大きな負荷を与えている。鶏糞や糞尿などの廃棄物は、環境と人間の健康に深刻な脅威をもたらす可能性があり、適切に管理する必要がある。
養鶏生産とそこから発生する廃棄物は、アンモニア・一酸化二窒素・メタンの排出と関連しており、動物や人間の健康だけでなく、世界の温室効果ガス排出にも影響を与えている。鶏糞や糞尿には、残留農薬・微生物・病原体・医薬品(抗生物質)・ホルモン・金属・不適切な比率の主要栄養素・その他の汚染物質が含まれている可能性があり、これらは大気や土壌、水質の汚染や、抗菌剤に対する病原体の耐性獲得や多剤耐性株の形成につながることもある。
集約化された養鶏作業から排出される粉塵には、羽毛や皮の小片・糞便・飼料の粒子・微生物・その他の汚染物質が含まれており、鶏の健康だけでなく、農場労働者や近隣住民の健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。悪臭もまた、労働者や周辺住民の健康や生活の質に悪影響を及ぼしうる問題である。
本稿では、集約的な養鶏が環境と人間の健康に与える影響について、現在の知見を総括して議論するとともに、持続可能な未来のための解決策について考察する。
Goran Gržinić, Agnieszka Piotrowicz-Cieślak, Agnieszka Klimkowicz-Pawlas, Rafał L Górny, Anna Ławniczek-Wałczyk, Lidia Piechowicz, Ewa Olkowska, Marta Potrykus, Maciej Tankiewicz, Magdalena Krupka, Grzegorz Siebielec, Lidia Wolska
2022/11/09
Intensive poultry farming: A review of the impact on the environment and human health