イタリアの酪農牧場における動物福祉の役割 牛の生産性と農場の収益性に関する検討

論文概要

 

酪農における動物福祉は、乳牛の健康を支えることで乳量や乳質の向上につながり、動物福祉に取り組む農家には経済的なインセンティブとなる。イタリアにおける「ClassyFarm」は乳牛群の福祉を評価するシステムで、農場におけるバイオセキュリティ、牛群の管理と施設の状況、動物の健康や行動に関する指標が用いられる。酪農場の評価では、飼育システムが放牧型および繋留型かによって異なるClassyFarmチェックリストが用いられ、アルゴリズムが算出する総合福祉スコアは0%(福祉状態が低い)から100%(福祉状態が極めて良好)までの範囲で評価される。

イタリア北東部でホルスタイン種およびシンメンタール種の牛を飼育する434カ所の農場を分析し、ClassyFarm で評価した福祉スコアに飼育システム(放牧型・繋留型)や品種構成(単一品種群・多品種群)が影響しているかどうかを調査した。さらに、データを4つのサブセットに分類し(放牧型のホルスタイン・繋留型のホルスタイン・放牧型のシンメンタール・繋留型のシンメンタール)、飼育システムの福祉レベルによって乳量と品質に違いがあるかどうかを調査した。

ホルスタイン種の単一品種群では、管理およびバイオセキュリティに関するスコアが比較的高かった(82.10 ± 1.78 %および58.50 ± 2.44 %)。シンメンタール種では、単一品種群では動物ベースの指標で最も高いスコアを示したが(87.90 ± 1.61 %)、多品種群はこれに比べて全般に低いスコアとなっていた。

牛群の管理および農場のバイオセキュリティに関するスコアが高い場合、乳量と乳質、経済的収益性が高い傾向にあり、高い福祉基準を重視する農家では農場全体の収益性が向上することを示唆している。従って、乳牛の福祉にリソースを投入することには実際的な意義があり、本研究の結果はこれを裏付けるものである。

 

原文タイトル:Exploring the role of animal welfare in cow performance and farm profitability in Italian dairy herds

論文著者:Silvia Sabbadin, Angela Costa, Valentina Lorenzi, Francesca Fusi, Luigi Bertocchi, Silvia Magro, Massimo De Marchi

公開日: 2025/08/26 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.prevetmed.2025.106666

別のFACTを探す