カロリーを維持した8週間のヴィーガン食で血球・リンパ球の検査所見に見られる変化

論文概要

 

背景: プラントベースホールフードには抗炎症作用があり、自己免疫疾患における臨床症状の改善と関連があるとされている。その基盤にあるメカニズムは未だ十分に解明されておらず、栄養素と宿主の生理機能における相互作用を早急に明らかにする必要がある。本研究では、8週間のヴィーガン食 vegan diet (VD) による介入が全血球数およびリンパ球組成に及ぼす影響について、等カロリーで肉類を多く含む食事 meat-rich diet (MD)と比較して検証した。

方法: 2群の健常成人を対象とした無作為化比較試験を単施設で実施した。参加者はMD群またはVD群に無作為に割り付けられ、8週間にわたってその食事パターンを遵守した。VD群では動物性食品の摂取を制限したのに対し、MD群の参加者には1日あたり150 g以上の肉類を摂取することを求めた。

結果: 8週間の介入試験を完遂した参加者は57名であった。8週目の時点で白血球数には2群間に有意な差が認められ(中央値(四分位範囲):VD群 5.17 (1.62) *103/µL に対して MD群 5.39 (1.92) *103/µL、p = 0.029)、同様の有意差はリンパ球数でも認められた(VD群:1.80 ± 0.53 *103/µL 対 MD群:2.06 (0.74) *103/µL、p = 0.049)MD群の参加者では介入期間中にリンパ球数が増加しており、上記の群間差はこれに起因していた。

血小板数の変化を中央値で比べると、VD群とMD群では有意な違いが見られ(VD群:- 21 (- 31) *103/µL 対 MD群 1.21 ± 28.37 *103/µL、p = 0.035)、同様の有意差は好中球数の変化でも認められた(- 0.17 (- 0.31) *103/µL 対 0.13 (0.50) *103/µL, p = 0.034)。

反復測定による混合モデルでは時間経過と食事パターンの相互作用を固定効果として設定した。この分析では、白血球数の変化が食事パターンの違いにのみ起因することが示唆された(コントラスト:- 0.50 (95% CI: – 0.99-(- 0.01)), p = 0.046)。

免疫表現型検査では、8週間後の時点で有意な群間差が見られたのはT細胞サブセットのCD3+ および CD8+、B細胞ではCD19+であった。特にヴィーガン群ではB細胞 CD19+がベースライン時から8週間後に有意に減少していた(214.77 ± 96.64 対 171.56 (102.73) cells/µL)。

結論: 本研究の結果から、健常者においてもヴィーガン食は肉類を多く含む食事に比べ、免疫細胞数を減少させることが示唆された。このため、ヴィーガン食では抗炎症作用が働いている可能性がある。

 

原文タイトル:Impact of an eight-week isocaloric vegan dietary intervention on hemogram parameters and lymphocyte subsets a randomized-controlled trial

論文著者:Julian Herter, Frieda Stübing, Volker Lüth, Ann-Kathrin Lederer, Ulrich Salzer, Ana Cecilia Venhoff, Bettina Sehnert, Luciana Hannibal, Reinhard Edmund Voll, Roman Huber, Maximilian Andreas Storz

公開日: 2026/01/10 

論文URL:https://doi.org/10.1186/s12916-025-04612-y

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