バランスの取れたヴィーガン食は、筋タンパク質合成を損なうことはない 活動性の高い高齢者を対象とした無作為化クロスオーバー試験

論文概要

 

背景: 植物性食品はタンパク質の消化率が低く、アミノ酸組成のバランスが偏っていることが多いため、タンパク質の同化作用に関しては動物性食品に劣ると考えられている。しかし、ヴィーガン食が多様な植物性タンパク質源を含む場合の同化作用について、高齢者を対象として検証した研究はこれまで存在しない。

目的: 在宅高齢者がヴィーガン食を10日間続けた場合に混合筋のタンパク質合成率にどのような影響があるか、等カロリー・等窒素の雑食と比較対照して検証する

方法: 地域に在住する高齢者34名(72±4歳、男性18名、女性16名)が本研究のクロスオーバー試験に参加した。参加者は2つのグループに無作為に割り付けられ、一方のグループでは管理されたヴィーガン食を10日間にわたって摂取し、これに続いて管理された雑食(動物性タンパク質60%)を摂取したのに対し、他方のグループではこれとは逆の順序で雑食とヴィーガン食を摂取した。参加者は上記の試験食を開始する前日に400mLの重水(デユテリウム水)を摂取し、それ以降は毎日50mLを摂取した。血漿および筋肉の検体は、これに続く介入期間中に採取し、身体活動レベルの評価には加速度計を用いた。心代謝に関する危険因子および(空腹感・満腹感など)食欲に関する指標を副次的アウトカムとした。統計解析には線形混合モデルを用い、結果は平均値±標準誤差によって提示した。

結果: 全体的なタンパク質合成率はヴィーガン食で1.23 ± 0.04%/日、雑食では1.29 ± 0.04%/日)で、2つのグループ間で有意差は認められなかった(P = 0.2542)。ヴィーガン食を続けた場合、雑食に比べて有意な低下が見られたのは、血漿中の低密度リポタンパク質 LDL(Δ0.23 ± 0.03, P < 0.0001)、高密度リポタンパク質 HDL(Δ0.03 ± 0.14、P = 0.0387)、および総コレステロール(Δ0.25 ± 0.04、P < 0.0001)であった。空腹時血漿における中性脂肪・血糖値・インスリン値では雑食とヴィーガン食に有意差はなく、インスリン抵抗性ホメオスタシスモデル評価、収縮期・拡張期血圧でも有意差は見られなかった(P > 0.05)。参加者の身体活動レベルは全般に高かった(12,460 ± 4,512 歩/日)。

結論: 身体活動レベルの高い高齢者におけるヴィーガン食は、その内容に多様な植物性タンパク質源を含まれていれば、等カロリー・等窒素の雑食と比較して1日あたりの筋タンパク質合成率が低下することはない。本研究の試験はclinicaltrials.govに登録された(https://clinicaltrials.gov/study/NCT05624333)。

 

原文タイトル:A Well-Balanced Vegan Diet Does not Compromise Daily Mixed Muscle Protein Synthesis Rates when Compared with an Omnivorous Diet in Active Older Adults: A Randomized Controlled Cross-Over Trial

論文著者:Jacintha Domić, Philippe Jm Pinckaers, Pol Grootswagers, Els Siebelink, Johanna C Gerdessen, Luc Jc van Loon, Lisette Cpgm de Groot

公開日: 2024/12/26 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.tjnut.2024.12.019

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