ペルーとチリの漁業におけるフンボルトペンギンの混獲 種の保全に向けた優先課題を特定する

論文概要

 

フンボルトペンギン Spheniscus humboldti は絶滅危惧種の一つで、ペルーとチリの沿岸に広がるフンボルト海域にのみ生息する固有種である。数多くの重大な脅威に直面し、個体数の減少につながっているが、特に懸念されているのは小規模漁業による混獲である。

本研究では、表層刺し網および底引き刺し網、巻き網を用いた小規模漁業におけるフンボルトペンギンの混獲の実態を検証するため、ペルーとチリの水揚げ地39か所(港・入り江・漁村)で漁業者へのアンケート調査を実施した。

調査の対象となった漁業者は合計779名である。その結果、2023年に混獲されたペンギンは計4,067羽(標準偏差±889)であると推定され、このうち最も多かったのは刺し網による混獲であった。ペルーのタンボ・デ・モラやサン・ホセ、チリのコキンボやサン・アントニオといった港湾では、最も重大な混獲の事例が見られた。空間マッピングでは、混獲が最も頻繁に発生するのはペンギンの大規模コロニーが存在する海域と一致していることがわかった。

多重対応分析では、こうした混獲に強く関連する要因として、使われる網目が大きいこと(7.6~12.7 cm)、漁労の本来の対象がムロアジ類 Seriolella violacea やコロダイ Anisotremus scapularis であることが明らかになった。本研究の結果は、混獲を減らすための対策に加え、政策面の改革や二国間協力など、対象を絞った保全戦略が喫緊に必要であることを強く示している。

 

原文タイトル:Use of rapid assessments of fishery bycatch of Humboldt penguins Spheniscus humboldti in Peru and Chile to help identify conservation priorities

論文著者:Eduardo Segura-Cobeña, Joanna Alfaro-Shigueto, Valentina Colodro, Héctor Gutiérrez-Guzmán, Vania Arrese-Dávila, Ruben Torrejón-Zegarra, Lizzett Vega, Adrian Custodio-Uribe, Nelly Peña-Cutimbo, Joshimer Rodríguez-Salazar, David Messutto, Verónica Ugalde, Estaban Araya, Ian Tomás Andersen Muñoz, Eliana Alfaro-Cordova, Jeffrey C Mangel

公開日: 2025/08/06 

論文URL:https://doi.org/10.1098/rsos.250319

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